国家・民族 EU
EUは「崩壊」を回避できるか?
ここぞとばかり条件を釣り上げるトルコ、難民問題に出口は見えず

メルケル首相の足元も危うい
7日、EU各国とトルコの首脳がブリュッセルに集結した〔PHOTO〕gettyimages

メルケル首相の正念場

3月7日、ブリュッセル。EUの緊急サミットが、トルコを交えて開かれた。EUを破壊しそうになっている難民問題。その解決策を見つけるための重要なサミットだ。

ここで何も決まらなければ、あるいは、今までと同じく決まったことが何も実行に移されなければ、EUは急速に「崩壊」に向かうだろうと、事前にさんざん危機感が煽られた。

しかも崩壊に向かうのはEUだけでなく、メルケル首相の足元も危うい。彼女の難民政策は、ドイツ国内で必ずしも支持を得ておらず、3月13日に3州で行われる州議会選挙が、かなりのプレッシャーとなって重くのしかかっている。一刻も早く難民問題の打開策を提示できなければ、メルケル首相のCDUは州選挙で大きく票を失う可能性がある。

そのメルケル首相が強く主張しているのが、難民問題の「EUレベルの解決」。具体的には、トルコを引き込んでのEU国境の防衛だ。

メルケル首相は、今EU各国が陥っている、それぞれが自国の国境を閉鎖して難民の流入を防ぐというやり方には反対で、「ドイツは難民の受け入れ数の上限を作らない」という崇高な理念を貫いている。しかし、何のことはない、今後、難民は、EUの国境のところでシャットアウトしてしまうつもりなのだ。

トルコは、すでに中東難民を250万人も保護している。中東からヨーロッパに渡る難民は、まずトルコに入る。トルコは中東難民の一大中継地なのである。その難民は、機を見てボートでギリシャに渡り、そこからバルカン半島を北上して、最終的にオーストリア、ドイツへ到達する。この流れを遮断できれば、EUの難民は劇的に減る。だからEUは、トルコの協力を得ようとしている。

ただ、トルコが本当に難民の流れを遮断できるかどうかは疑問だ。トルコにいる難民がギリシャの島に渡るには、密入国幇助を生業としている犯罪組織の助けを借りなければならないが、これがすでに一大産業となっている。今や難民は麻薬よりも人身売買よりも儲かるらしい。

はたしてトルコ政府がこの黒い産業をたやすく潰せるのかどうか?