激安居酒屋「鳥貴族」のホワイトな経営戦略
現役東大生が明かす「成功する就活の秘伝」Ⅱ
大熊将八さん〔撮影:神谷美寛〕

瀧本ゼミ流の企業分析術

今回は、僕と同じ学生の皆さんなら誰もが行ったことのある1品280円均一の激安居酒屋チェーン「鳥貴族」の経営戦略の巧みさを、瀧本ゼミ流の企業分析術を用いて解説していきたいと思います。

この「鳥貴族」、全国とりわけ関東圏で近年どんどん新規出店をしている、今いちばん勢いがあるチェーン居酒屋と言えます。なぜこんなにうまくいっているのか?これからどうなるのか?

瀧本ゼミでは、三つの角度から業界・企業を分析することで、この問いに答えていきます。その三つとはそれぞれ「タテの分析」「ヨコの分析」「ナカミの分析」です。

「タテの分析」では、対象業界(今回は「居酒屋業界」)の歴史の変遷を追っていきます。

「ヨコの分析」では、現時点での対象業界の構造を把握し、どういうプレーヤーがいて競合しているのか、あるいは棲み分けているのかを見ていきます。

「ナカミの分析」では、タテとヨコの分析を踏まえて、調査対象企業(今回は「鳥貴族」)がどんな強みを持つのか、なぜその強みを発揮できるのか、その強みはいつまで続くのかを調べていきます。

タテとヨコでみる「ブラック居酒屋」伸びた背景と現状

まずは「タテの分析」。居酒屋業界のルーツを、探っていきましょう。

戦後から高度経済成長期までは、個人経営の居酒屋が中心でした。まさに『オールウェイズ 三丁目の夕日』の世界です。

その後低成長期に差し掛かった頃、「総合居酒屋チェーン」が登場しました。多様なメニューと安さ、ブランド力から個人経営の居酒屋の市場をかっさらい、どんどん伸びて全国に出店されていきました。

流れが変わったのは、バブルが崩壊した1990年代以降。デフレが進行し、何よりも「安さ」が消費者に重視されるようになりました。この流れに乗って急激な成長を遂げたのが、当時のワタミです。有名な「24時間365日働け」という掛け声のもと、従業員1人1人を限界まで酷使することで極端な人件費圧縮を実現し、圧倒的な「安さ」で消費者に訴求することに成功しました。