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五郎丸歩、新しいルーティンへの挑戦
ついに世界最高峰の舞台へ
〔PHOTO〕gettyimages

日本ラグビー界のスターは、豪州に新天地を求めた。言葉は通じず、不自由さから、苦難を味わうこともあるだろう。それでも、日本にいては得られない「財産」が、埋まっていると信じている。

「失敗も自分のためになる」

「弟がW杯から帰ってきたときも、1度福岡で昼食を食べにいっただけなので、できればシーズン後に、お酒を飲みながら語り合いたかった。でも引っ越しとか準備があって、弟とは豪州に行く前も会えませんでした。

21日、国際電話で久しぶりに30分ぐらい話しました。日本にいるときは居酒屋に行くのにも、お客さんがいない店を選んだり、閉店後にこっそりあけてもらったりしていたようです。

今はそんな気苦労もなくなり、すごく楽しそう。世界最高峰のリーグに挑む『覚悟』ではなく、『楽しむ』という言葉をさかんに使っていました」

五郎丸歩(29歳)の兄で、自身もトップリーグ、コカ・コーラウエストのFWとしてプレーする亮さんは、世界に挑む弟の健闘を期待し、声を弾ませた。

日本が誇るラガーマン・五郎丸の世界挑戦がはじまった。豪州のクイーンズランド・レッズの一員として海を渡った五郎丸が2月26日、スーパーラグビー開幕の日を迎えたのだ。2月8日にチームに合流した五郎丸の様子を、チームの現地関係者が明かす。

「すごく真面目な人で、プロフェッショナルな感じがした。メディカルチェックひとつをとっても、こちらの選手は、半分白い歯を見せながら取り組むのに、ゴロウマルさんは真剣そのもの。どうやって自分の100%の力を出すか、今から考えている様子でした」

14日には、レッズの本拠地があるブリスベンでファンイベントが開催された。2000人ほど集まったファンの半分以上は日本人で、もちろん、チームメートの中では一番人気だ。行列を作るファンに丁寧にサインし、予定より40分オーバーでイベントは終了。改めてチームメートに、五郎丸の存在感を示した。

しかし、五郎丸が望んでいるのは、「日本のラグビー界のスター」であることを誇示することではない。2015年のW杯で準優勝した国で、自分の力がどれぐらい通用するかを知ること。昨年末、本誌の取材に、五郎丸はこう明かしていた。

「地位が固まれば固まるほどリスクを避けて通るようになると思うんです。日本代表の活躍は、僕個人の力だけではないのに、これだけスポットライトを浴びて、評価してもらって、それでなお国内にとどまっていたら、本当にリスクを避ける人間になってしまう。