障害者のリアル、そして恋愛を描いた漫画『パーフェクトワールド』に号泣

障害を日常として捉える

長沢につきつけられた現実。つぐみは反論する術を持たなかった。

阿部:今だから言えますが、取材の依頼を受けた当初、本当に僕の話が恋愛漫画になるのかなって思っていたんですよ(笑)。

有賀:えっ、そうなんですか(笑)。

阿部:障害にまつわることはネガティブな考えがついてまわりますから、女性向けの雑誌で車椅子の建築士との恋愛漫画と言われてもピンときませんでした。でもつぐみが車椅子の樹に後ろから抱きついているのを見て、すごく良いなと思いました。女性の方から寄り添いたくなる気持ちが、日常の中で自然に表現されているなって。

有賀:つぐみと樹は手をつないで歩くことが出来ません。でも車椅子だからこそ出来ることが絶対あるし、そういうトキメキポイントは入れようと思っていました。車椅子から降りた樹が床をポンポンって叩いて隣につぐみを呼ぶシーンは、つぐみがくっついて甘えたくなっちゃうだろうな〜と思いながら描きました。

阿部:新鮮だなあ。そういえば、ヘルパーの長沢さんがつぐみの恋敵として出てくる前、お電話をいただきましたよね。

有賀:「看護師さんや理学療法士、作業療法士の人に恋愛感情を持つことってありますか?」とか「実際結婚した方はいるんですか」とか「阿部さんはどうでしたか」とか色々質問しちゃいましたよね。女性側、男性側、色んな立場の人のことをあれこれ教えていただき、とても参考になりました。

阿部:彼女のように白か黒かはっきりと先を示してくれる姉さん女房タイプの人は、障害に悩み苦しんでいる時は楽だし魅力的です。実際彼女が背中を押してくれたおかげで、樹は建築士への道を歩み始めますし。

有賀:そうですね。元看護師でヘルパーの長沢さんはずっと障害のある人に向き合ってきた人ですから、彼女言っていることは正しいという感想もあるんです。「障害を日常としてとらえることができなければ、どんなに好き合っていても一緒にはいられない」という長沢さんのセリフは、取材で色んな方から聞いたことが元になっています。

好きなだけではやっていけないという現実は、これからつぐみが越えていかなければならない問題です。ちょっとネタバレになってしまいますが、3巻でつぐみと樹は大きな壁にぶつかるのですが、そんな二人が再びスタートするためには、あらためて障害との付き合い方を考える必要があると思うんです。