障害者のリアル、そして恋愛を描いた漫画『パーフェクトワールド』に号泣

「描いてはいけないのでは」という思いと

初恋の人との久しぶりの再会。胸を躍らせたつぐみだが、車椅子姿を見て言葉を失ってしまう。
はじめて任された大きな仕事。没頭するあまり樹は体調を崩してしまう。

有賀:実は当初、つぐみも樹も全然違う性格でした。つぐみは初恋の男の子が車椅子になって現れ、びっくりするものの割と簡単に受け入れて好きになっちゃうような子でした。樹はちょっとツンデレで冷たい子というテンプレキャラクターでした。

阿部:何というかサラっとしてますね。戸惑いや葛藤がない。

有賀:表面的過ぎたのだと思います。だからネームに行き詰まってしまって。そんな時、障害に接した時に感じる思いを漫画にすることに、私自身がためらいを感じていると気づいたのです。 それから担当さんと打ち合わせを重ね、実際にあったり感じるたりすることだったら、ちゃんと真正面から描こうと決意しました。

阿部:そういった気持ちは自然なものですからね。

有賀:誰もが感じる思いを描こうとした結果、つぐみはどこにでもいる普通の子になりました。思い悩みすぎるきらいがあるけれど、一途なところが魅力です。小さなことを大きく悩むのは私っぽいかもしれません(笑)。

阿部:樹が「ウンコもらすことあるよ」と口にしているのもすごくリアルですよね。もしかしたら、女性漫画のヒーローとしてはらしくないかもしれない。

でも脊髄を損傷すると、下半身のコントロールがきかないので肛門が緩んでちょっと腹圧かけたりすると出てしまう。これは避けて通れません。おしっこや排便のコントロールが出来てこそ一人前の障害者、という共通語があるくらいですから。

お話しさせていただいたことがキチンと描かれていたので感動しました。

有賀:多くの人がブログなどで、割とオープンにしているので、樹にとっても当たり前のこととして描きました。樹を描いていると、人間としての本質的な強さとは何なのだろうとよく考えます。「自分は弱い人間だ」とかデリケートな部分をサラッと口に出来るのは彼の強さだと思うんです。