本/教養


38年続く人気小説!
ここまできたら登場人物は「生きている」も同然です

作家・平岩弓枝さんに聞く

「御宿かわせみ」おなじみメンバーの珍道中

1973(昭和48)年から続く「御宿かわせみ」シリーズ。通算40巻目の本書で初の長編小説となり、お馴染みの面々が東海道から伊勢路を旅していく、楽しい内容となっています。物語は、江戸時代から続く大川端の旅宿「かわせみ」が、早春の大嵐で被害を受けるところから始まります。

復旧に時間がかかるため、「かわせみ」は一時休業となるんですね。女主人の神林るいは、幼馴染みの畝千絵に「この機会に」と誘われ、お伊勢参りに出かけます。道中をお付き合いするのは、女中頭のお吉さんと、深川長寿庵の長助さん。

江戸時代に流行したお伊勢参りは、伊勢信仰、道中の観光と娯楽、いろいろな要素が混じりあった楽しい長旅。江戸の「伊勢講」は明治になっても続いていて、世話人の御師の引率で出かける団体旅行です。おるいさんたちは、岡本吉大夫という御師の講中に、商家の旦那衆たちと参加します。

「かわせみ」の主のおるいさんが長旅だなんて、意外な展開です。長年の読者も面白がっているかもしれません。

もともとこのシリーズは短編のグランドホテル方式、ひとつの場に人々が集まり物語が展開する形式で書き始めました。

「新・御宿かわせみ」となってからは時代を江戸から明治に移し、主要登場人物も世代交代しています。ここにきて何だか、私が好きな旅もので長編を書きたくなったんですね。いつもと趣向を変え、季節の変化、道中の景色、各地の名産品や文化を織り込みながらの長編もよいかと思えたんです。

「かわせみ」は、ファンの方からたくさんお手紙を頂くのですが、この伊勢旅の連載が始まってすぐに「ご無事でお帰りになられますように」というお便りを頂きました。小説なのに本当の旅のように応援を頂いて、執筆の励みになりました。