雑誌 ドクターZ
なぜ官僚は「政官接触」の記録を公開しないのか
横行する恣意的な判断
〔photo〕iStock

政治家と官僚の接触は頻繁にある

「政官接触」の記録を国の全11省が作っていなかったことが明らかになった。2月24日付の毎日新聞によると、内閣官房内閣人事局にいたっては、取材に対して「作っていない」と回答していたにもかかわらず、本当は記録し保存していたこともわかったという。

「政官接触」とは、その名の通り、政治家と官僚が会うこと。

国家公務員制度改革基本法第5条第3項には、「職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存その他の管理をし、及びその情報を適切に公開するために必要な措置を講ずる」とある。

つまり官僚は、国会議員による不当な介入を防ぐため、政治家と会った際に記録を残さなければならないのだ。

その記録をすべての省が残していなかったのは問題である。だが、「接触」とはどのレベルを言うのか、疑問を持つ人も多いだろう。会議やレクだけでなく、単なる飲み会も「接触」なのか。そもそも、「政官接触」はどの程度あるものなのか。

日本の官僚は、かなり頻繁に政治家に会っている。まず、政党が予算案や法案などの説明を求めてくる。政党の会議には必ず官僚が出向き、予算案や法案などを説明する。これは与党と野党ともに同じだ。特に与党については、彼らの了解がないと予算案や法案が国会で通らないので、官僚は丁寧に要求に対応する。

また、そうした党のプロセスとは別に、政治家個人から官僚に対して、個別案件に関わる説明を要求されることもある。キャリア官僚であれば、毎日、何件も政治家との接触があるはずだ。

問題となるのは後者。政治家個人による、個別案件での官僚との「接触」である。甘利明前経済再生相の件も、この個別分野の話である。この意味からいえば、会議やレクだけではなく、飲み会であっても「政官接触」だ。

政治家と官僚の「接触」は頻繁にある。ではなぜ、国のすべての省がその記録を残していないのか。

きっかけは'12年12月26日の閣僚懇談会。この日発足した第2次安倍内閣に、官僚との関係を密にし、彼らをコントロールしたいという意思があったのだろう。「『官』は、国会議員又はその秘書から、個別の行政執行(不利益処分、補助金交付決定、許認可、契約等)に関する要請、働きかけであって、政府の方針と著しく異なる等のため、施策の推進における公正中立性が確保されないおそれがあり、対応が極めて困難なものについては、大臣等に報告する」と規定されたのだ。

この「大臣等に報告する」案件については、「日時・経過、内容等、当該案件の処理経過を記録し、大臣等の確認を経た上で保存する」とされた。

これを官僚たちは、記録するのは「対応が極めて困難なもの」だけでいいと解釈した。そこで彼らは、現場の判断によって「政官接触」の記録を作らなくなったのだ。

とはいえ、ほとんどの官僚はメモをとるのが仕事だと思っている「メモ魔」である。習慣としてメモは必ずとっているはずで、記録がないわけがない。

政官接触記録は各省の各官僚が持っている。

「記録がない」と言っているのは、単に記録を公開したくないだけなのだろう。すべて記録し、すべて公開するべきだ。

『週刊現代』2016年3月19日号より 

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