原発「新設」をひそかに目論む安倍政権~「脱原発」はこうして骨抜きにされた
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福島第1原発事故から5年。2012年に誕生した安倍政権は民主党政権下の「原発ゼロ」方針を骨抜きにし、全国の原発を次々と再稼働させている。その先には、新たな原発の建設をも見据えているのではないか。

「脱原発」はいかにして解体されていったのか。原子力ムラの住人と時の政権の狡猾な戦略を、エネルギー問題を取材するジャーナリスト・北方農夫人(のぶと)氏が暴く。

骨抜きになった規制基準

国の中長期的なエネルギー政策をまとめた「エネルギー基本計画」が、ほころびを見せている。

東京電力福島第1原発事故以降の「基本計画」では、脱原発の世論を意識し、原発の依存度を低下させるとの方針が記された。

だが、原発依存度低下への具体的な道筋は示されず、一方で昨年8月の九州電力川内原発1、2号機を皮切りに、これまで2原発4基が再稼働した。事故から5年を経て、日本は原発回帰を色濃くしている。

さらに今年2月24日には、原子力規制委員会が、運転開始から40年を迎える「老朽原発」の九州電力高浜原発1号機に、再稼働のゴーサインを与えた。

原発事故の教訓を受けて定められた新たな規制基準では、原発の運転期間は「原則40年」となっている。それを超える老朽原発の運転延長は、規制委が認めれば1回に限り20年延ばすことが可能だが、あくまで例外措置との位置づけだった。規制委の田中俊一委員長も、当初は「相当困難」と語っていたが、いつの間にか骨抜き状態となってしまった。

老朽原発の運転延長は、多くの人たちに事故の危険性が高まるとの危惧を抱かせる。その懸念を払拭させる形で、事故後は封印されてきた原発の新増設に政府が踏み出す可能性もある。