世界経済
中国政府が乗り出した景気対策のための「危険なバクチ」
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バブルの後始末をはじめる中国政府

3月5日、中国政府は2020年までの経済成長率の目標を公表し、今後5年間の成長率を平均で6.5%以上とした。中国政府は輸出・投資主導から国内消費型への経済構造の改革を進め、安定した経済成長を目指そうとしている。

政府は経済構造の改革とともに、過剰設備に悩む鉄鋼業界などの「ゾンビ企業」の淘汰を進めていくという。ゾンビ企業の淘汰を進めることは企業の倒産件数や失業者を増加させ、景気減速懸念を高める。

問題は、過去の景気刺激策の後遺症が大きく、大規模な景気刺激策が打ちづらいことだ。そのため、今後も、中国政府は金融緩和策を中心に、景気の下支えを進めることになるだろう。問題は、金融緩和策だけで景気を支えることができるか否かだ。

現在、中国政府は、2009年の大規模な景気対策の後始末を進めている。リーマンショック後、中国は4兆元(当時の邦貨換算額で約60兆円)の景気刺激策を打ち出し、景気の減速を食い止めようとした。

その結果、大規模に公共投資などのインフラ開発などが進められ需要が急速に高まった。

需要の高まりに合わせて、中国は鉄鉱石、原油など多くの資源を世界中から買いあさり、これを受けて世界各国が資源開発を急速に進め、資源バブルによる景気拡大が発生した。

問題は、景気対策の効果は永久に続かないことだ。景気刺激策が一巡し、需要が伸びづらくなった結果、中国の成長率は低下した。そして、過剰な供給能力の存在が明らかとなった。

それと同時に、不良債権の増加懸念などを高め、2014年後半には世界的な資源バブルが崩壊した。

バブルが崩壊すると、過剰な人員、設備、負債のリストラが必要になる。すでに中国政府は鉄鋼や造船、セメント業界で経営難に陥ったゾンビ企業のリストラを進めている。ゾンビ企業の存在は、4兆元に上る景気刺激策の“後遺症”だ。その後遺症が治癒しない限り、積極的な財政支出は打ち出しづらいだろう。

さらに苦しいのは、失業者や企業倒産の増加という、経済の基礎的条件=ファンダメンタルズの悪化を支えられる経済基盤が見当たらないことだ。

中国の個人消費はGDPの40%に満たない。都市部と農村部の格差や戸籍の問題もあり、消費のすそ野を広げることには時間がかかる。当面、景気の減速懸念は高まりやすいと考えた方がよいだろう。