中国 政局
全人代開幕、年々強まる「習近平色」〜李克強首相「2016年政府活動報告」全詳細
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李克強首相、年に一度の「晴れ舞台」

3月5日、全国人民代表大会(人大)が開幕した。3月16日まで開かれる年に一度の国会である。

数年前までは、「今年の中国経済はどんな成長を見せるのだろう」と世界が注目していたものだが、今年は逆の意味で注目されていた。すなわち、「中国政府は一体、悪化の一途を辿る中国経済をどう立て直すのだろう?」という疑心暗鬼の眼差しだ。

人大の最大の注目点は、初日の午前中に行われる李克強首相の「2016年政府活動報告」である。李克強首相は、強烈な個性の習近平主席の影に隠れて、日増しに存在感が薄くなってきている。

中国版LINEにあたる「微信」(WeChat)で、中国の友人知人から私に来るメッセージでは、以前は李克強首相のことを、敬意を込めて「李総理」と書いてあった。それが昨年くらいから、しばしば「李省長」(省は日本の県に相当)という隠語で来るようになった。そのココロは、一国の総理なのに、「一省長」くらいの仕事しかしていないし、存在感もないということだ。

ところが最近では、「李県長」(県は日本の郡に相当)と書いてくるのだ。つまりさらに存在感が薄れているということで、次に「李村長」と書いてきたら、中国経済はおしまいじゃないかと思ったりもする。

李克強首相の任期は、ちょうど残り2年である。聞こえてくるところによれば、北京に住む李首相の年老いた母親が、「私の目の黒いうちは総理を続けておくれ」と言って励ましているという。本人も、あと1期5年やろうと、いま必死で習近平主席に媚を売っているところだ。

だが、このままいけば、ほぼ確実に習近平主席は李克強首相をクビにする気がする。そもそも習近平主席と李克強首相は最大のライバルで、性格も考え方も経歴も水と油なのだ。

習近平主席は副首相の息子の太子党(二世議員)で、発想は完全に北京人。毛沢東と人民解放軍をこよなく愛している。一方の李克強首相は安徽省の農民から北京大学法学部に入った秀才で、一歩一歩、共産主義青年団の組織から上がって来た。尊敬するのは鄧小平で、中国を西側のような経済体制に変えたいと思っている。

これはちょうど、ロシアのプーチン大統領とメドベージェフ首相の関係と似ているのかもしれない。