賢者の知恵
2016年03月13日(日) 週刊現代

プロ野球からノンプロへ
〜正田樹、河原純一……男たちの葛藤と、再出発の物語

週刊現代
upperline
巨人、西武、中日と渡り歩いた河原純一投手は、その後、四国独立リーグで投げていた〔photo〕wikipedia

カネもなく、設備もない。ノンプロの選手たちを取り巻く環境は、華々しいプロとは大違いだ。だが、彼らはここにいる。野球だけに生きてきた人生。他の道を選ぶことは、男たちにはできなかった—

甲子園優勝投手のプライド

「松坂フィーバー」に日本中が湧いた翌年、再び甲子園に一人のスター選手が現れたのを覚えているだろうか。

伸びのあるストレートと落差のあるカーブを武器に、6試合3完封。圧倒的な力を見せて、桐生第一高校を全国制覇に導いたスーパーエース。

あれから17年。正田樹は、34歳になった。

甲子園優勝投手として'00年にドラフト1位で日本ハムへ入団し、'02年には新人王まで獲得した男はいま、四国アイランドリーグ・愛媛マンダリンパイレーツで3年目のシーズンを迎えようとしている。

ヤクルト時代の正田樹投手〔photo〕wikipedia

正田が言う。

「NPBと独立リーグでは、環境はまったく違いますね。給料はプロ時代の半分以下どころではありませんから、アルバイトしながらの選手は多いです。長距離移動も狭いバスですし、グラウンドも借り物。いまはキャンプ中ですが、昼飯は出ません。僕は今日、自分でおにぎりを作って持ってきました」

日ハムから移籍した阪神で'08年オフに戦力外になって以来、正田は台湾リーグやマイナーリーグなど、いくつものチームをわたり歩いてきた。

'12年にはヤクルトに拾われ、プロの世界に返り咲いたが、結果が出せぬまま2年でクビ。昨年11月に開かれた合同トライアウトでも、獲得に手を上げる球団は一つもなかった。

もはや愛媛のチームメイトは、正田より一回り近く歳下の選手ばかりだ。なぜ、そこまでして現役にこだわるのか。

次ページ 不完全燃焼のまま終わりたくない…
1 2 3 4 5 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事

最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事