どーなってるの!? 『国立がんセンター』に
がんが巣くってるらしい

 罵りあっている場合ですか? 独立行政法人として新しくスタートした国立がん研究センターを巡る大騒動。組織より患者さんを心配してくださいよ。

「職員はもっと真面目に働け」

 4月1日、国立がんセンターが独立行政法人として「国立がん研究センター」と名前を変え、新たなスタートを切った。新理事長に就任したばかりの嘉山孝正氏は、本誌の取材にこうまくしたてた。

「僕は全職員のシフトに合わせて5回も所信表明演説をやって、そのたびに『今までとは全然違いますよ』と言ったんです。
  厚労省がどうのこうのと言う前に、現場が自分のやることをやっていない。研究のレベルも低い。もっと真面目に働けって。改革する前に正常化することから始めないと」

 新理事長がコーフンするのには訳がある。せっかく新たなスタートを切ったにもかかわらず、センター内は問題山積。独立法人化でポストを追われた厚労省からもケチがつく。

 あげく長妻昭厚労相と仙谷由人国家戦略担当相が"仲間割れ"というような情報まで流れ、「政治主導」や「公務員改革」の是非といった政治問題にまで発展しかねない状態なのである。

 新生がんセンターを巡る状況については、後で詳細に述べるとして、まずは独立法人化までの経緯を簡単に説明しておこう。

 国立がんセンターは日本のがん治療・研究の中核的施設として君臨する一方で、長年、財政問題を抱えてきた。

 独立法人化する前の段階で、抱えていた借金は約600億円。しかも、これは国の特別会計からの借り入れで、金利が4~5%と高く、がんセンターの年間約260億円の収入のうち、1割近くが利息返済に消える計算になる。

 この借金を作った元凶と言われるのが、代々、厚労省から出向してきた官僚たちである。

 彼らは医師の資格を持つ官僚「医系技官」として、がんセンターの会計と職員の人事権を掌握する運営局を牛耳り、そのトップである運営局長が、実質的に病院経営を左右してきた。

 3月末までがんセンター中央病院の院長を務めていた土屋了介氏は、3月9日に行われた「医療ガバナンス学会」で、官僚たちへの不満をブチ上げている。

「今、皆さんが見ている綺麗な19階建ての病棟を(略)、我々も騙されて買った。600億円かけて建てた。民間なら400億円くらいだと言われる。我々、診療側はほとんど知らないうちにこうなっていた」

 同じように官僚主導で巨額の赤字を生んできた病院は、がんセンターだけではない。

 国立循環器病センターや、国立国際医療センターなど計六つの国立高度専門医療センター(がんセンターを含む)と呼ばれる組織で、赤字総額は計1700億円を超える。

 これらのセンターを独立法人化する法案が'08年12月に可決。スタート日も今年4月1日と決まった。

 ところが、莫大な借金や職員の待遇などを巡る議論はなかなか煮詰まらず、政権交代後も引き継がれてきた経緯がある。

 それが昨年11月27日に「独立行政法人ガバナンス検討チーム」が内閣府に設置されると、一気に議論が加速。がんセンターについては、山形大学医学部長だった嘉山氏が公募で理事長に選ばれ、厚労官僚の指定席だった運営局長ポストも廃止。新たに理事会を作って運営にあたることが決まった。

 同時に、600億円を超える借金も、一部を一般会計に引き受けさせることで170億円まで圧縮することになった。

 こうした荒療治の結果、なんとか4月1日のスタートを切ったのである。

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