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絶対安全なはずの「ゆうちょ銀行」が危ない
静かな「取り付け騒ぎ」の前兆
鳴り物入りで上場したばかりなのに……〔PHOTO〕gettyimages

異次元に突入するとはこういうことか。想像を絶する変動が金融業界に起こりつつある。マグマが噴出する日も近い。

ゆうちょの200兆円が溶けていく

「小口の預金を集めて、将来性のある事業に投資するというのが本来の銀行の業務のあり方です。しかしすでに、このビジネスモデルは崩壊しつつあります。

国債の利回りは期待できないし、融資をしようにも有望な借り手がないとなれば、結局、銀行は手数料で稼ぐしかなくなる。ATMの時間外手数料などを考えれば、現在でも実質的にマイナス金利の状態にあるといってもいい。

私の知人でも『預金するのが馬鹿らしくなった』と金庫を買って、金の地金をしまっている人がいます」

こう語るのは信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏だ。

目端の利く預金者たちはすでに動き始めている。ホームセンター大手の島忠では、2月中旬の小型金庫の売り上げが前年比2・5倍に跳ね上がっている。銀行というシステム自体に対する不信感がじわりと高まっている証左、静かなる「取り付け」の前兆である。

日銀が導入したマイナス金利は劇薬だ。その副作用のおかげで、今後の経営が憂慮されている巨大な金融機関がある。ゆうちょ銀行だ。

昨年11月、鳴り物入りで上場を果たした日本郵政グループの金融部門だが、その収益の柱は国債の運用である。日本郵政グループ関係者が語る。

「ゆうちょ銀行の運用資金は約200兆円ですが、そのうち4割を国債で運用しています。ところが、マイナス金利の影響で、もともと低かった利回りがさらに下がり始めている。

そこでゆうちょは株式や不動産ファンドなどを運用することで収益を上げられる態勢を作ろうと試みています」

これまでは「絶対安全」ばかりを重視してきた官営銀行にとっては、180度の方向転換だ。国債を買う以外にはろくな投資も融資もしたことがなかったため、当然ながら株式運用のための人材やノウハウが圧倒的に不足している。