防衛・安全保障
なぜ日本政府はPKF部隊派遣にこだわるのか? 自衛隊「駆けつけ警護」問題の真実
先進国では日本と韓国だけ…
南スーダンで活動する国連平和維持軍。自衛隊も参加。当地の治安は悪化している。〔photo〕gettyimages

安倍首相の強い意欲のもと、安保関連法に新たに盛り込まれた自衛隊による「駆けつけ警護」。政府の説明では、PKOなどに参加する自衛隊が、窮地に陥った他国の軍隊やNGOから救援要請を受けた際に、武器を持って助けに行く行為だというのだが…。

文/伊勢﨑 賢治

 PKFと国連文民警察

「駆けつけ警護」なる用語は現場には無い。

あるのはProtection。これは国連平和維持活動(PKO)で行われる警護業務で、駆けつけようと、駆けつけまいと、PKO施政下で活動する国連職員、ユニセフ等の国連関連団体、NGO等の人道援助団体を、武力を使って保護する。

それをやるのは、「国連平和維持軍(PKF)」と、同じPKOのもう一つの部門である「国連文民警察」である。

同じPKFの中で、窮地に陥った部隊に他国の部隊が駆けつけ、協力するのは、一つの統合指揮下に「一体化」するPKF部隊として当たり前のことだ。

(PKOとPKFの用語の違い、そして施設部隊としての自衛隊はPKFであり、多国籍軍としての武力の行使に一体化する、という事実と、そうじゃないという歴代の政府のウソは、これを参照 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47860 )

その他の「駆けつけ警護」は、その国で活動する国連職員、人道援助要員への傷害を違法とする紛争当事者国(例えば南スーダン)の国内法を根拠として警察権を行使する「国連文民警察」のお仕事である。

住民保護という「ある国家の国民に降りかかる脅威をその国家に変わって国連が殲滅する」、つまり「国連がいわば自衛権を行使する」ようになった現代のPKOにおいて、国連平和維持軍(PKF)と国連文民警察の線引きは、より明確になってきている。

PKFは「交戦主体」として戦時国際法・国際人道法に準拠する。国連文民警察は当事者国の国内法。つまり、PKFは「戦争」として敵に対峙し、国連文民警察は「犯罪」として対峙する