性行為でうつることも!?
知っておきたい「ジカウイルス感染症」の恐怖

ついにWHOが緊急事態宣言
2月に「緊急事態」が宣言されたが、どのように対応すればよいのだろうか…… 〔PHOTO〕gettyimages


文/山本太郎(長崎大学熱帯医学研究所教授)

ジカウイルス感染症、「緊急事態」の理由

2016年2月1日、世界保健機関(WHO)はジカウイルス感染症(ZVD)*に対し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC:Public Health Emergency of International Concern)」を宣言した。

「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」とは、大規模な疾病発生のうち、特に国際的な対応を必要とするものを指す。かつては黄熱病、コレラ、ペストの三つの感染症を対象としていたが、2005年に国際保健規則が改正され、原因を問うことなく国際的な公衆衛生上の脅威となりうるあらゆる事象が対象となった。

その結果、WHO加盟国は公衆衛生上の緊急事態に対して通告義務を負い、WHOは通告内容に応じて迅速な手段を講じる義務を負う。強制力はないものの、出入国制限を勧告できる。これまでに、PHEICが宣言された事態には以下のようなものがある。

2009年 新型インフルエンザの世界的流行
2014年 野生型ポリオの世界的流行
2014年 西アフリカエボラ出血熱流行
2016年 ジカウイルス感染症の世界的流行

今回、ジカウイルス感染症に対しPHEICが宣言された。最大の理由は、妊婦に対する感染が新生児に与える影響が懸念されたことにある。

目下、アジアにもジカウイルスが侵入していることを考えれば、WHOが全世界的な評価体制を緊急に立ち上げて、ジカウイルス(あるいは南米で流行している株)の関与を明確にし、感染拡大に取り組むことは意味のある対策となる。さらに、そうした流行に関しワクチン開発を加速することが求められる。