賢者の知恵
2016年03月01日(火) 渡辺将人

共和党はトランプを止められるのか?

スーパーチューズデーの焦点【共和党編】

upperline
トランプ候補と、その支持を表明したクリスティ・ニュージャージー州知事(右)〔photo〕gettyimages

 

渡辺将人(北海道大学)

クリスティ、「トランプ支持」の波紋

現地3月1日(日本時間2日)のスーパーチューズデーを目前に、ニュージャージー州のクリス・クリスティ州知事がトランプ支持を表明した。

「トランプ阻止」を目指す共和党主流派の一本化に水を差し、「トランプ大統領」誕生を後押しするかのような動きにも見えるが、共和党内の見方はどうなのか。

共和党インサイダーの声から、スーパーチューズデーの観察ポイントを絡めて確認しておきたい。

* * *

クリスティ知事はニューハンプシャー州予備選前からルビオ批判を強めてはいたが、穏健派「エスタブリッシュメント」としてはルビオを支持することが期待されていた。あるいは州知事としての盟友であるオハイオ州知事のケーシックを支持するのが自然とされていた。

それだけに、散々批判してきたはずのトランプを支持する行為は、多くの共和党関係者を動揺させた。

だが、クリスティのトランプ支持の決断は、クリスティ個人の戦略としては想定内という擁護論もある。

筆者の旧知の共和党委員に、数年前からクリスティの立候補を強く応援してきた人物がいる。クリスティの予備選遊説の縁の下の力持ち的な存在だった。同委員は、アイオワでクリスティが伸びなかった頃から機嫌が悪くなりはじめていたが、意外にも今回の決断には冷静な見方を示している。この共和党関係者は筆者に対してこう述べる。

「クリスティにとってルビオは支持するには軽量級すぎた。かといって、クルーズはあまりに一致できることが少ない。ケーシックではトランプを倒すことはできない。

したがって、クリスティのトランプ支持は純粋にトランプから自らの利益を引き出す戦略だ。トランプ政権では司法長官、国土安全保障長官などの可能性がある」

これだけ早期に、しかもエスタブリッシュメントといわれる主流派としてトランプを支持するのだから、トランプもそれなりにクリスティを処遇するだろうという論理だ。クリスティ支持層内には「副大統領にしてしまうのは、クリスティの能力はもったいない。ただ、大統領にもしものことがあれば、そのときは良き大統領になる」という棚ぼた期待論まである。

ただ、現実的にはトランプの地盤のニューヨークとクリスティが知事を務めるニュージャージーは隣接州で、大口を叩くキャラクターも似ていることから、正副大統領候補の組み合わせとしては理想的ではない。むしろ、トランプの副大統領候補のパートナーとして望ましいのはケーシックだ。

ちなみにケーシックは大統領の可能性は薄いが、副大統領候補としては「万能」だ。本選の激戦州のオハイオ州の知事として同州で手堅く票が取れることに加え、同性愛者や移民にも穏健で無党派層の支持を得やすい。

1990年代の下院議員時代は、ギングリッチ下院議長下の連邦下院で、財政タカ派として財政均衡をめぐる抗争でクリントン政権との交渉で譲らず、経済保守の信頼もある。特にルビオとの「正副」の組み合わせを民主党は恐れている。

次ページ 「反トランプ」の勢いは?
1 2 3 4 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事