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米経済に「持ち直しの兆し」は本当か?
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まだら模様の回復

最近、米国の経済指標に強めの数字が出ており、再度、年内の米利上げ観測が高まりつつある。たとえば鉱工業生産、耐久財受注、10~12月期のGDP(国内総生産)成長率の改定値は予想を上回った。そうした経済指標を反映して、年初来からの景気後退の懸念がやや薄くなっている。

ただ、昨年12月の利上げ時点に比べると、世界経済の状況は大きく変化している。原油価格の急落を受け、産油国のソブリンウェルスファンドの資産売却は世界の金融市場を不安定にさせている。

また、6月23日の国民投票で、英国のEU離脱(Brexit)の懸念が高まるなど不安定要素は増えている。その中で米国の利上げが適切なのかどうか、FRBはこれまで以上に慎重な判断を求められる。

各米国経済指標をみると、堅調なものが多い。特に、鉱工業性差や耐久財受注という製造業に関する指標の反発は、先行きへの懸念を食い止める材料になっている。

昨年10月以降、ISM製造業景気指数が50を下回り、米国の製造業の景況感悪化への懸念が高まった。それだけに、生産活動に回復の兆しが出始めていることは、米国経済の回復が続き、緩やかな利上げが進むという見方をサポートする材料になるといえる。

これまでの米国経済は川上の製造業が弱い一方、川下の非製造業が比較的堅調だった。それが、ここへ来て非製造業の景況感は少しずつ弱含みになりつつある。2月のサービス業PMI(購買担当者指数)は、景気の強弱の節目と言われる50を下回った。1月のISM非製造業景気指数は50を上回ったものの、前月からは低下した。

昨年来の経済指標を冷静に見ると、米国の景気は強弱混合の状況にある。取り敢えず企業の経営が前向きであれば、緩やかな回復が続くという見方はサポートされやすいだろう。しかし、米国の企業業績はエネルギーや機械を中心に悪化が目立つ。そのため、米国経済の下振れリスクも高まっている可能性がある。