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「東京23区格差」のウラ側
〜足立・葛飾・江戸川「下町三兄弟」の幸せな毎日

カネはないけど人情がある
週刊現代 プロフィール

まさに、住めば都

葛飾区の京成立石駅周辺は、言わずと知れた居酒屋密集地帯だ。店によっては、昼過ぎから早くも杯を傾けるオヤジたちがいる。近年は若者にも人気の「コの字カウンター」の店は、宵の口ともなれば老若男女がぎゅうぎゅう詰め。中には子連れの客さえいるが、子供も一緒になって店自慢の「煮込み」をつついているから微笑ましい。

ある居酒屋の、60代の男性店主が言う。

「この辺りにはね、人情ってのが生きているでしょう。浅草(台東区)みたいに、内心はお高くとまってるような『人情』じゃなくて、お節介というのかな。困っている人がいたら見て見ぬふりはできないっていう、そういう人情ですよね。どんなに東京が変わっても、ここだけは変わらないでいてほしいよ」

また、前出の、小岩に住む飲食店勤務の20代女性は、「イヤなこともいっぱいあるけど……」と前置きしてこう続けた。

「でも私、この町がやっぱり好きなんですよ。渋谷で別のバイトが終わって、小岩駅で降りたら『ああ、帰ってきた』ってホッとしちゃうんです。面白いところなんか全然ないし、道にゴミはいっぱい落ちてるし、古い店ばっかりなんだけど……どうしてなんですかね?」

カネや地位なんてなくても、見栄を張らなくても、この町でなら生きていける。東京砂漠の東には、「下町三兄弟」というオアシスがある。

「週刊現代」2016年3月5日号より