「東京23区格差」のウラ側 〜足立・葛飾・江戸川「下町三兄弟」の幸せな毎日カネはないけど人情がある

2016年03月06日(日) 週刊現代

週刊現代賢者の知恵

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商店街も元気だ。葛飾区新小岩駅の南口を出ると、真正面に口を開けるのが、全長400mを超える大アーケード「ルミエール商店街」。その中にある八百屋の店先で、段ボール箱に山と積まれた泥付きの野菜は、キャベツ1玉78円、ほうれん草1束98円など、やはり23区内とは思えない赤札価格だ。60代の女性客が言う。

「このお店には、毎日来てますよ。主人には7年前に死なれたんだけど、商店街に来れば顔見知りがいっぱいいるし、一人でもさびしくないの。年金暮らしだから贅沢なんてできないけどね、この商店街はどこも安いから大丈夫。それに買い物に出かけると、歩いて、笑って、人と話すでしょ。だから健康にもいいのよ」

下町におけるもうひとつの「人間交差点」は、至るところに店を構える銭湯だ。入り口の唐破風が立派な千住のとある銭湯は、まだ日のあるうちから、近所の住民たちで大賑わい。脱衣所には、テレビをぼんやり眺める人、眉根を寄せて新聞を熟読する人、手拭いで真ん丸いお腹をパチン、パチンとリズムよく叩いている人……。

「オレが子供の頃は、この辺にはもっといっぱい銭湯があったよ。家に風呂なんかなかったからね。まあ今は家にも風呂はあるけどさ、オレはこっちのほうがいいんだな。番台のババアとも古馴染みだしな。

最近は、知り合いがどんどん死んでくのが悲しいね。だからサッと風呂入って、酒呑んで早く寝ちまうんだ」(70代男性)

少子化? どこの話?

カネ持ちこそあまり住んでいない足立・葛飾・江戸川だが、意外と有名企業もある。

前出の50代男性が教えてくれたイトーヨーカドー以外にも、今は港区青山に本店を構えるお菓子メーカー・ヨックモックも足立が発祥の地。現在は合併したおもちゃメーカーのタカラとトミーなど、葛飾区にはプラスチック系のメーカーが数多く残る。古くから住んでいる住人には、こうした工場勤めの人々が多い。大田区や板橋区と並ぶ町工場の集積地帯なのだ。

有名人もちゃんといる。俳優の故・蟹江敬三や元モーニング娘。の後藤真希は江戸川区出身。ビートたけしや元キャンディーズのスーちゃん(故・田中好子)、またNHKの朝ドラ『あさが来た』で主演を務める女優の波瑠は、足立区出身である。

一方で、学歴や社会的ステータスという点で言うと、文京区や世田谷区などの住民はおよそ半数が大卒なのに比べ、「下町三兄弟」の大卒者の割合は2割前後と23区で最低。同じく、管理職や会社役員の割合も、最も少ないといわれている。

さらに、昔から「ガラの悪い地域」と見られがちな東京東部にあって、とりわけ足立区の刑法犯認知件数は、'06年〜'09年のワースト1位だった。葛飾区はまだしも、江戸川区も足立区とほぼ同等の「犯罪多発地域」とされている。江戸川区小岩の飲食店で働く、20代女性がこう告白する。

「私は生まれも育ちもこの近所ですけど、夜道を歩いてると、正直怖いときもあります。居酒屋が多いから、酔っ払いも多いでしょ? この前もそこで『ちょっと、ちょっと』と声をかけられて、振り向いたらおじさんがアソコを出してニヤニヤしてました。マジでキモくないですか?」

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