国際・外交
アメリカの猛反対を撥ね付けてまでロシアに向かう安倍首相の「勝算」
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アメリカも驚いた安倍首相の固い意思

安倍晋三首相は、5月の大型連休中の4月28日~5月7日まで欧州歴訪の旅に発つ――。

これまで外務省と各国外交当局との事前折衝によって、安倍首相は英国、フランス、イタリア、ベルギー、ドイツ、ロシアの順番で各国を訪れ、キャメロン英首相、オランド仏大統領、レンツィ伊首相、トゥスクEU大統領、メルケル独首相、プーチン露大統領と会談することが内定していた。

ところが、EU残留を目指すキャメロン首相は、自ら率いる与党保守党内の「反乱」によって厳しい政治局面に直面し、日英首脳会談の日時確定ができなくなってしまった。英国はEU離脱の是非を国民に問う国民投票を6月23日に実施する。しかし、キャメロン後継最有力候補のジョンソン・ロンドン市長が2月21日、反旗を翻しEUからの離脱支持を表明したのである。

加えて、英国では5月5日に統一地方選がある。キャメロン首相は今、統一地方選挙と国民投票対策でアップアップ状態にあり、外交に目を向ける余裕がない。従って、日英外交当局同士による交渉が中断、安倍首相が訪問する国々の順番の決定には時間を要する。

確定しているのはプーチン大統領との会談だけだ。5月6日、ロシアの保養地ソチにある大統領別邸で行われる。

安倍・プーチン会談については、2月23日夜、時事通信が速報で〈オバマ米大統領は9日の日米首脳電話会談で、安倍首相が予定しているロシア訪問に対して懸念を伝えた〉と報じた。ソースは、在日米国大使館政治部とされる。

それはともかく、翌日の新聞各紙朝刊も「米大統領、訪ロ自粛を促す―9日の電話会談、首相は方針変えず」(日本経済新聞)、「首相訪露にオバマ氏懸念―9日電話会談、延期求める」(読売新聞)と報じた。

安倍首相がオバマ大統領に「日本にとってはロシアとの平和条約も大事だ。ロシアと対話を続けていくべきだ」と応じた、と読売報道にあるように、安倍首相の対露アプローチは不退転である。

そもそも安倍首相は、昨年4月の日米首脳会談でもオバマ大統領から同様の対応を受けていたのだ。2014年3月のロシアによるクリミア半島併合に端を発したウクライナ情勢が深刻化して、オバマ大統領主導で欧米の対ロシア経済制裁が発動された。以来、オバマ、プーチン両首脳関係は悪化の一途を辿っている。

そうした中で、安倍首相はオバマ大統領が求める対露交渉中断を撥ね付けたのである。安倍・オバマ会談に同席したライス大統領補佐官(国家安全保障担当)は、全く想定していなかった安倍首相の言辞に驚き、瞬時言葉を失ったほどであった。