防衛・安全保障
韓国「核武装」、本当の矛先は日本?
〜日韓関係悪化はアベノミクスのせいだ

〔PHOTO〕gettyimages

北朝鮮の核の脅威が広まるなか、韓国の世論調査では自国の核武装への支持が半数を超え、朝鮮日報が核武装を促す社説を掲載した。この動きに対し佐藤優さんは韓国の核武装の矛先は北朝鮮ではなく日本にあると指摘。その真意を明かす。(本記事は、文化放送「くにまる・じゃぱん」の放送内容(2016年2月19日放送)の一部抜粋です)

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突然、脅威が深まるワケがない

西川:共同通信によると、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの発射を受け、アメリカの議会で可決された北朝鮮に対する独自の制裁法案にオバマ大統領が署名し法案が成立しました。(2月18日)

これまでの制裁を大幅に強化したこの法律は、北朝鮮による核・核ミサイル開発や独裁体制の維持につながる資金の遮断を狙ったもので、取引に関係した第三国の個人や企業も対象となります。法律が成立したことによって、すでに北朝鮮に対して独自の制裁を打ち出している日本や韓国とアメリカが足並みをそろえた形になりました。(略)

邦丸:韓国の国民や、韓国に住んでいる方からすると、北朝鮮の脅威は、日本列島に住んでいるわれわれの数十倍と言われているということですが。

佐藤:朝鮮戦争で地上戦もやっていますからね。

邦丸:実際に脅威があった場合、必ずと言っていいぐらいソウルから避難する人がいると聞きました。1月の下旬に韓国メディアが行った韓国国内の世論調査では、韓国も核武装すべきだという声が半数を超える結果になっています。この数字(52.5%)について、佐藤さんは「これはマズいよ」とおっしゃっていますが、これはどういうことでしょうか?

佐藤:私が非常に気になっているのは、韓国メディアの朝鮮日報が、1月28日に<核武装を禁断の箱の中に閉じ込めておくわけにはいかない>と、核武装する時期に来たという社説を立てています。アメリカとの軋轢ということを考えたとしても核武装をやらないわけにはいかないし、自分の身は自分で守らなければいけない、と。

その前に、韓国与党の院内代表も同じようなことを言っています。これは憶測ですが、どうも政府がそっちの方向に世論を誘導しているのではないかと思うんです。

邦丸:ただ、韓国のこの問題に対しては、中国はもちろんですが、アメリカが「冗談じゃない」と反対していますね。

佐藤:アメリカは、核不拡散の立場から許さないですよ。ただ、考えてみてください。もっと怖いのは、これは「どこに向けた核なのか」ということです。

公には北朝鮮に向けてということですが、しかし去年の地雷事件(2015年8月、非武装地帯の韓国側で地雷が爆発し、韓国兵士が負傷した)で南北が緊張しましたよね。あの時、北朝鮮から韓国に向けた核攻撃の危機や、韓国国内での核武装論が出てきていたでしょうか?

邦丸:出ていないですね。

佐藤:その数年前、金正日の時代にも長距離砲が韓国の島に落とされましたね(2010年11月、延坪島銃撃事件)。あの時も核攻撃という話があったでしょうか?

邦丸:ありませんでしたね。

佐藤:今、突然、脅威が深まったんでしょうか?

邦丸:うーむ。