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「年金」がどんどん溶けていく
〜責任逃れの素人集団に「運用」を頼んだ覚えはない!

長生きするほど減額の憂き目に
公的年金を「賭場」に持ち込んで大金をスッたGPIF。所管する厚労省のトップが塩崎大臣だ〔PHOTO〕gettyimages

誰が「虎の子」の老後資産を株で運用してくれと頼んだだろう。年明けからの暴落で「悠々自適の年金暮らし」は不可能に。年金が無くても優雅に老後を過ごせる安倍総理や塩崎大臣が羨ましい。

10年でなくなる?

「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、すでに昨年の7~9月期で7・9兆円の巨額損失を計上しています。この間、日経平均株価は14%下落しました。今年に入ってから、日経平均株価は約15%下がっている。単純計算すれば、年明け以降、9兆円くらいの運用損が出ていても不思議ではありません。

しかも、これは現時点での試算です。年末まで株価が今の水準で低迷すれば、さらに5兆円の運用損。1万5000円を割り込む水準にまで下がれば、合計で20兆円もの年金資産が消える可能性があります」(民主党衆院議員・山井和則氏)

私たちの老後資産である年金積立金が株価の下落に伴い、ものすごいスピードで溶けている。

安倍晋三総理をはじめ、政府は「長期的な視点で見るべきだ」と取り繕うが、実際に長期的に見れば、より危機的な状況にあることは明らかだ。

社会保険労務士の大曲義典氏が警鐘を鳴らす。

「現在の年金給付総額は45兆円ですが、保険料収入は25兆円。不足分は税金と積立金の取り崩しで穴埋めしているのが現状です。毎年5兆円程度を取り崩していますが、このままでは現在、約135兆円あると言われる積立金はいつかなくなってしまいます」

'04年に自民党と公明党が、「100年安心」を謳って年金制度を「改正」したことは記憶に新しい。その際、5年に一度、年金財政を検証することを定めた。'14年に行われた財政検証では、最も悪いシナリオで'51年に年金積立金が枯渇すると試算。しかし、この見通しでさえ甘いのでは? と大曲氏が疑問を呈する。

「この試算は、物価上昇率が年0・6%、実質賃金上昇率が年0・7%を前提としています。現状から見ればこの前提でさえ、バラ色の未来を想定しているとしか言えません。なにしろ昨年は物価上昇率こそ0・8%でしたが、実質賃金上昇率はマイナス0・9%でしたから」

政府と日銀が躍起になって推し進めている物価上昇率2%の「インフレターゲット」は一向に達成する気配がない。その上、実質賃金は低下している。年金が「100年安心」だとする根拠は大きく揺らいでいるのだ。

「実質賃金上昇率が、年金の試算には非常に重要な意味を持ってきます。賃金上昇は年金の保険料収入に直結し、これがマイナスということは保険料収入が減ることを意味するからです。それを考えれば、'51年よりも前に積立金が枯渇してしまうでしょう」(前出・大曲氏)

物価上昇率と実質賃金上昇率を0%とし、運用利回りを1%としたある試算では、年金積立金は'30年で底を突く。

現在の株価水準が続けば、'15年度の運用利回りはマイナス5%にもなりかねない。政府は、安倍政権になってからGPIFは30兆円超の利益を出したと強弁するが、これはGPIFの資金を株式市場に注ぎ込んで株高を牽引した「自作自演」に過ぎない。

円高株安でアベノミクスが逆回転を始めれば、含み益はいとも簡単に吹き飛んでしまう。リスクを大きく抱えた以上、被害は甚大で'30年よりもっと前、10年後にも枯渇する可能性さえある。

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