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井端弘和「いぶし銀」の決断
~もう少しで名球会、でも未練はなかった

二宮清純レポート
ボール直撃、ウイルス性ヘルペス、網膜剥離。目の怪我や病気と闘い続けた野球人生だった 〔PHOTO〕gettyimages

際どいボールをカットしつづける粘りのバッティングに、ゴールデングラブ賞7回の華麗なグラブ捌き。いぶし銀の技術でチームを支え続けた名手は、今度は参謀として、盟友を支える道を選んだ。

高橋由伸からの電話

内野にゴロが転がると同時に本塁目がけて三塁ランナーがスタートを切る。タッチよりもスライディングの方が一瞬、早い。昨季までならアウトと思われるケースのほとんどがセーフとなった。

宮崎での巨人キャンプ第2クール。ノックバットを持つ井端弘和はひとつのプレーが終わるたびに守備位置を確認し、選手たちに指示を出した。それが内野守備走塁コーチとしての事実上の初仕事だった。

プロ野球は今季から本塁付近でのクロスプレーに関するルールが変更された。キャッチャーはブロックが禁止され、ボールを持たずに走路を塞ぐと走塁妨害をとられることが確認された。

一方でランナーも、走路からはずれた位置にいるキャッチャーへの体当たりは危険なプレーと見なされ、悪質な場合は守備妨害をとられることになった。

新ルールにどう対応するか。それがキャンプ前半のプロ野球の最大のテーマだった。

「ブロックが許されないキャッチャーは、手だけで(ランナーに)タッチにいくしかない。特にファーストとセカンドからの送球を受ける際は、昨季までよりも素早く処理しなければ(ランナーに)回り込まれてしまう。この2つのポジションは昨季より前に守らせる必要がありそうです」

練習後、腕組みをしながら井端は答えた。

開幕までには、まだ時間がある。審判の判定に対する傾向を探りながら、どんな対策を練るのか。新コーチの腕の見せ所である。