目標を達成する人は「絶対にやらないこと」を3つ決めている

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荒木 香織

どうすれば10位にたどり着くことができるのか。それはエディさん以外誰にもわかりませんでした。先ほど述べたように、指導者が決めた結果に関する目標に選手がとまどうことは少なくありません。

そこで、リーダーズのミーティングを通じてエディさんにその具体的な方法論について説明を求めました。なんといっても、エディさんはオーストラリア代表ヘッドコーチとして、南アフリカのアドバイザーとして、それまでのワールドカップで二回決勝に進み、一度しか負けていない名将です。説明を聞いて、選手は「できる」と確信したと思います。

そして、2013年にウェールズ、2014年にトップ8に次ぐイタリアに勝ったりしたことで、同年11月には一時世界ランキング九位になりました。そうしたら今度は「ワールドカップでベスト8」に目標を修正した。

選手が言うには、エディさんは練習においても、「もうちょっとやったらできそう」と選手が感じた時点で練習を止めたそうです。だから、次の日も選手はがんばることができる。

テストマッチを組むときもそう。少しがんばれば手が届く相手に勝つことで、選手に「もっと強い相手にも勝てるかも」と感じさせたわけです。

南アフリカに勝つという目標だって、傍から見れば実現不可能に見えたかもしれませんが、必ずしも選手たちはそうは感じていなかったと思います。対戦が決まったときには、日本代表は上昇気流にありました。選手たちは、「ちょっとがんばればいけるんじゃないか」と思っていたはずです。実際、スクラムにおけるキーマンのひとりである堀江選手は、試合前にインタビューで断言していました。

「南アフリカくらいなら押せます」

非現実的なものではなく、自分がきちんと行動に移すことができること。それが目標設定には大切なのです。

「絶対に達成できる目標」も必要

先ほども「失敗を恐れる人が多い」と述べましたが、人がなぜ失敗やミスを恐れるようになるかといえば、掲げた目標が現実的ではないからということも無視できません。

とくにアスリートの場合、目標は監督やコーチから、すなわち他人から与えられたものであることが多い。アスリートでなくても、親や先生から「これを目指しなさい」と言われることは少なくないはずです。

選手はそれが達成不可能だとは思いません。だから、失敗すると、それは自分の能力が足りないから、低いからだと思い込んでしまう。その結果、自信を失い、モチベーションも下がってしまうのです。