不正・事件・犯罪
甘利事件に残された「ナゾ」
〜告発者の狙いは何だったのか?

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「仕事師」の正体

国会で、甘利明前経済再生担当相の秘書らが都市再生機構(UR)に対して口利きをした問題が取り上げられ、高級自動車「レクサス」を“おねだり”していた音声データが公開されるなど、大物政治家とその秘書の「権力をカネにする」という意識が、以前と変わらないことが明らかになった。

同時に「口利きの有無」というあっせん利得処罰法など、犯罪に関わる部分と無関係なことから、ほとんど取り上げられていないが、「一色武とは何者か」という告発者の素性については、事件の持つ意味を考え、背景事情を知るためにも必要なことだろう。

現在、62歳の一色武氏は、『週刊文春』と同誌が仲介したメディアにしか登場しないので、“縛り”がかかっているのか、素性はほとんど明かされていない。これまで4回の文春報道で明らかなのは以下の通り。

・20代の頃から主に不動産関係の仕事をしていた。
・その縁で、甘利明代議士の父で衆議院議員の正氏とも面識があった。
・一色人脈のひとりが正氏の書生をやっていたI氏で、ともに漁業権の売買に関する相談を甘利明代議士にしたことがある。

・補償を求めた薩摩興業の代理で千葉県企業庁を攻撃していた右翼団体に所属していたことがある。
・その右翼団体の後を引き継ぐ形で、薩摩興業総務担当者として活動した。
・甘利事務所には、URへの口利き以外、労働ビザの発給に絡み、2回、金銭(1回20万円)を支払った。

不動産業者、漁業権売買、右翼団体構成員、補償交渉代理人、労働ビザの斡旋……。これでは本業はわからない。というより本業はなく、面倒な交渉事に登場して話をまとめるブローカーといっていい。この種の人は、「仕事師」と呼ばれることもある。一色氏の知人の言葉がそれを裏付ける。

「カネになることはなんでもする、そのために必要なものはなんでも利用する。不動産業者といっても転がし専門。彼が親しくして、一緒に漁業権に取り組んだというIさんは、平塚の自民党系同和団体のボス的存在だった人。

また、右翼団体というのは北方領土に取り組んでいた八王子の団体だが、一色氏にそんな意識はなく、右翼の傘の下に入りたかっただけ。労働ビザは、フィリピンパブで働く女の子のためのものだった」