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中国経済、今度こそ「大崩壊」
〜軍事大国化で低成長を隠すキケンな実情

そのころ北朝鮮では…?
経済危機をよそに習近平は軍事大国化の道を邁進〔PHOTO〕gettyimages

中国経済が、円高株安の日本以上に危機に陥っている。もはや巨竜は青息吐息。習近平は危険な方向に舵を切った。そして習近平以上に危険な金正恩は、軍トップを処刑。両国の最新事情に迫る。

続出する「春節倒産」

中国は、2月8日から始まった春節(旧正月)の大型連休を終えて、平常に戻った。

と思いきや、北京や上海などの大都市で「異変」が起こっているという。

北京在住ジャーナリストの李大音氏が語る。

「春節で帰郷した労働者が、所属する会社や工場などに戻らないケースが続出し、『春節倒産』が相次いでいるのです。中国の企業は春節前、年に一度のボーナスを支給する習慣がありますが、今年は経営悪化でボーナスを出せない企業が多かった。それを不満に思った従業員たちが、会社に見切りをつけるのです。

その他、都市部では、テナントが一斉に撤退した『ゴーストデパート』が続出していて、その数は昨年だけで、約300ヵ所にも上ると言われています。年初から都市部は大荒れです」

中国の平均株価にあたる上海総合指数は、昨年末の3539ポイントから、春節前の2763ポイントへと、わずか1ヵ月あまりで22%も下落している。中国全土に1億8000万人いる「股民」(個人投資家)たちは、年初から損のしっぱなしなのだ。そのため、借金苦から違法な高利貸しに走り、財産を失う人々も、後を絶たない。

大荒れなのは大都市ばかりではない。地方経済もガタガタだ。

1月26日に開かれた遼寧省人民代表大会(県議会に相当)で、陳求発省長はやつれきった表情で、遼寧省の現状を報告した。

「昨年の遼寧省のGDP成長率は、わずか3.0%しかなかった。これは過去23年なかった低成長で、PPI(生産者物価指数)は、43ヵ月連続で下落している。

わが省の経済がここまで落ち込んだ理由は、以下の通りだ。企業の生産コストが上がり、少なからぬ業界と企業が経営困難に陥り、技術革新は追いつかず、新興産業は育たず、サービス業の発展は停滞し、地域の発展は不均衡で、財政収入は悪化し、財政支出は増え、国有企業は経営が回復せず、民営企業は発展せず……」

翌27日には、山西省の人民代表大会で、李小鵬省長が、やはり神妙な顔つきで、驚くべき省内の実態を告白した。

「昨年の山西省のGDP成長率は、3.1%だった。この数値は過去34年で最低だ。その結果、すでに省内の約8割に上る自治体が、公務員の給与を支払えなくなっている……」

このように、都市部も地方も、まるで雪崩を打ったように経済が急下降しているのだ。

それでも中国政府は、相変わらず大本営発表を続けている。

1月19日、国家統計局の王保安局長(大臣)が記者会見し、「昨年の中国のGDP成長率は、国外の逆風にもめげず、6.9%に達した」と胸を張った。これに対して、普段は習近平政権に従順な中国メディアさえも、「本当は5%以下ではないのか」と疑義を唱え始めた。

すると習近平主席は1月26日、当の王局長に「腐敗分子」のレッテルを貼って電撃的に粛清し、お茶を濁したのである。

習近平主席はまた、経済の失政を、軍備拡張することで国民の目からそらそうとしている。

春節を目前に控えた2月1日、新調した人民服に身を包んだ習近平主席は、国防部の「八一大楼」に集結した人民解放軍の幹部たちを前に、檄を飛ばした。

「本日から人民解放軍を、新たに5つの戦区に分け、中央に連合作戦指揮機構を設置する。これは、共産党中央と中央軍事委員会が『強軍の夢』を実現するための戦略的政策だ。君たちは『戦争ができ、戦争に勝つ』軍隊となるのだ!」

こうして、長く7つの軍区に分かれていた人民解放軍を、5つの戦区に再編し、それらを自分が直接、統轄する体制を整えたのである。まさに200万人民解放軍を、「習近平の軍隊」に作り替えたのだ。

前出の李氏が明かす。

「まったく公にはされていませんが、その後に飛び出した習近平主席のセリフが、『21世紀の戦争は、陸海空天電の5軍によって決まる。特に「天」と「電」を強化せよ』というものでした。『天』とは衛星からの攻撃などを指す宇宙空間部隊で、『電』とはサイバー攻撃部隊を指します。

つまり習近平主席は、従来型の陸海空3軍の戦いでは、到底アメリカに歯が立たないので、宇宙空間とサイバー攻撃で、世界の覇権を狙おうとしているわけです」

実際、中国人民解放軍が仕掛けるサイバー攻撃はすでに始まっていて、先進国が一斉に、怒りの矛先を中国に向けている。

米司法省は'14年5月、サイバー攻撃によって、アメリカの原発や鉄鋼、太陽電池関連の企業から情報を盗み取ったとして、人民解放軍61398部隊第3旅団に所属する5人の中国人将校を、刑事訴追した。かつては親中派と目されていたオバマ大統領でさえ、昨年9月に習近平主席が訪米した際には、中国の度重なるサイバー攻撃について、習近平主席を面罵している。

2月9日には、クラッパー米国家情報長官が、上院軍事委員会の公聴会で、習近平政権に怒りをぶつけた。

「(習近平主席は)昨年9月に、今後サイバー攻撃はしないと約束したはずだ。それなのに中国は相変わらず、アメリカ政府やその同盟国、企業などへのサイバー攻撃を繰り返している。中国の政権の正当性を脅かすとみなした機関を、次々に標的にしているのだ」

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