大統領選 アメリカ
「サンダース旋風」で深刻化する民主党内の亀裂
〜「政党」の結束が揺らいでいる

アメリカ大統領選・現地リポート
ニューハンプシャー州予備選でヒラリー・クリントンに勝利したバーニー・サンダース〔photo〕gettyimages

文/渡辺将人(北海道大学)

誰がサンダースを支持しているか

アメリカ大統領選の指名獲得競争の2戦目ニューハンプシャー州予備選は、共和党ではドナルド・トランプ、民主党ではバーニー・サンダースの勝利に終わった。 

「政治革命(Political Revolution)」をスローガンにするサンダースは、政治に幻滅していた有権者の心を揺さぶり、リベラル系の支持基盤を活性化している。その一方で、政党の結束を困難にさせ、本選への深刻な副作用が懸念されているのも事実だ。

言いかえれば、政党帰属意識のないサンダースのような独立系候補が「民主党候補」として台頭することの功罪であり、共和党側のトランプ旋風とはまた別の民主党側の「2016年問題」が存在する。

* * *

民主党ニューハンプシャー州予備選の投票者を対象にしたCNNの出口調査によれば、投票経験が「2回目以上」が83%、「初投票」が16%だった。

この「初投票」の内訳に目を向けると、サンダースが78%、ヒラリーは21%とかなりの差がついている。サンダースが若年層(18〜29歳)の83%を獲得したことが大きいが、18歳の初投票者以外にも、独立系候補を好む有権者の予備選初投票もうかがわせる。

「政党帰属意識」では、「民主党に帰属意識を感じる人」は全体で58%に過ぎず、40%もの投票者が今回「無党派」と回答している。「無党派」の内訳は、サンダース73%、ヒラリー25%だった。

ところで「無党派」と日本語で書くと政治に無関心な人か、リベラルや保守などの強いイデオロギー的な傾向を持たない浮動票という印象だが、アメリカ政治用語での「インデペンデント」(independent)は厳密にはこの日本語の「無党派」とはニュアンス上の差がある。

そこには、2大政党のどちらの現状にも満足していないという強い政治意識を持つ層も含まれ、自らがリベラル過ぎて民主党には満足できず、自らが保守過ぎて共和党には満足していないような層も「independent」と自称するからだ。

だから、本当は「無党派」ではなく「独立系」と訳したほうが原意には近いのだが、本稿では日本語としての分かりやすさと慣習を優先して「インデペンデント」を「無党派」としておく。

上記のニューハンプシャー州の民主党予備選についてのCNN調査でも「極めてリベラル」26%、「リベラル寄り」42%、「穏健」27%のうち、「極めてリベラル」の中での得票内訳はサンダース67%、ヒラリー33%だ。

サンダースのフィールド事務所で、活動家や若者と対話してみると一目瞭然だが、彼らは日本語でいうイデオロギー色の薄い「無党派」というよりは、アメリカの民主党の穏健さ加減に我慢がならない急進リベラルが多い。