文学BAR
2016年03月06日(日) 有川浩

エンタメの未来が危ない!
作家・有川浩が決意の緊急提言「新刊本を買う意味」

upperline
[Photo]iStock

『図書館戦争』『三匹のおっさん』シリーズをはじめ、『阪急電車』『空飛ぶ広報室』『旅猫リポート』など数々のベストセラー小説を発表している有川浩さんは、作家として第一線で活躍するだけでなく、出版業界にかかわる一人として、出版の未来を真剣に考え続けています。町の書店さんが次々に姿を消し、出版不況が叫ばれて久しい時代に「本を買う」意味とは?

書店回りで見えた厳しい現実

初めまして。

あるいは、いつもお世話になっております。

作家の有川浩です。

昨年11月に、佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』(通称『コロボックル物語』)シリーズを引き継いで、『だれもが知ってる小さな国』を上梓し、書店回りをしてきました。

書店回りというものを、皆さんご存じでしょうか。新刊発売に合わせて、作家が書店さんを訪問し、サイン本を作らせていただくという販促活動のことです。

私は、2012年に『ダ・ヴィンチ』が主催する読者参加型の賞「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR」を受賞したのを機に、地方まで含めた書店回りを積極的に行うようになりました。書店さんに支えていただいたお礼奉公ができたら、という思いからです。私のサイン本が、書店さんにとっての武器になるうちは、続けたいと思っています。

(サイン本は、購買意欲をそそる商品のように思われますが、実は書店さんにとってのリスクもあります。売れなかった本を取次に返本する際、サインは汚損と見なされるので、返本できなくなるのです。売り切ることができなかったサイン本は、書店さんにとって不良在庫になってしまいます)

さて、私はたくさん書店回りをしてきましたが、今回の書店回りでは、かなり出版界にとって厳しい未来が見えてきました。

完全に私の肌感覚によるもので、データも根拠もありません。ですが、出版界の最前線である書店さんを取り巻く状況は、思った以上に厳しくなっています。

皆さんが「リアル書店」で思いがけない本と出会う機会は、思いのほか早く減ってしまうかもしれません。

次ページ 1600円の本の印税は?
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ
編集部お薦め記事