大統領選 アメリカ
米大統領選2016アイオワで何があったか〜クルーズ勝利を支えた「宗教保守」勢力
トランプ旋風、イメージと実態に落差
アイオワでトランプ候補を破ったクルーズ候補〔photo〕gettyimages

文/渡辺将人(北海道大学)

アイオワの党員集会

2月1日、筆者はジョンソン郡コーラルビルのブラウンディア・ゴルフクラブで行われた党員集会を観察した。

通常、党員集会は政党別に違う会場で行う。2012年はオバマ再選に挑戦者が出ず党員集会は共和党だけだったが、2008年は雪道のなか両党を梯子するのが難儀だった。

しかし、ジョンソン郡アイオワシティ近郊には5ヵ所だけ、同じ建物内で両党が党員集会を行う会場がある。例えば、筆者が今回選んだゴルフクラブでは、クラブハウスの2階を民主党、1階を共和党の会場に割り当てていた。

2016年のアイオワ党員集会は予想以上の参加者数を記録し、共和党では2012年の記録を上回った。「当日登録者」の多さが顕著で、予備の政党登録用紙が足りなくなる問題や、入り口に長蛇の列ができて19時の開始時間がずれ込む会場などが続出した。

米メディアでもアイオワ取材経験者でないと理解し難いとされる党員集会とはどのようなものなのか、アイオワ州の地理と今回の結果に絡めて見てみたい。

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地平線までトウモロコシ畑が続く中西部の農業州アイオワは、州別投票のいびつな制度の頂点に君臨している。

アイオワ州の位置〔photo〕Wikipedia

党員集会の1年前から「来訪者」で溢れかえる。候補者と他州からの応援議員、戸別訪問を行う他州からのボランティア、環境保護から反移民まで主義主張を社会に浸透させたい団体。世界中から集まるメディア。

盛り上がりは1週間前からピークに達する。2016年は「トランプ旋風」のせいでいっそう激しかった。

アイオワは白人人口が9割以上で、豚、トウモロコシ、大豆などが主産品の農業州だ。「アメリカの平均」とはおよそ言いがたい。

しかし、イデオロギー分布は意外に多様だ。右端に行けばクルーズを勝たせた宗教保守がいるが、左端に行けばサンダースを接戦まで粘らせた支持層もいる。州内の地域分住傾向が強いためアイオワは地元政治関係者の間では「チョコチップクッキー」と呼ばれる。