大統領選 アメリカ
世界最強の権力者はこうして決まる
〜アメリカ大統領「選挙」のしくみ

日本の選挙とはこんなに違う
渡辺 将人 プロフィール

さらに、アメリカでは日本での霞が関にあるような機能の大半を州政府が保持している。州によって教育制度も違うし、税制も違う。州税は税目、税率、課税対象が州により様々だ。また、州が個別に州軍を持ち防衛をしている。

トップスクールはすべて私大で、国立大学は軍の士官学校ぐらいしかないアメリカでも、州立大学は多数ある。サンダースの目玉政策の1つの大学無償化の対象の「公立大」とは、国立大学のことではなく州立大学のことである。

大統領選挙だけは複数の州での票獲得のハードルがある

だから何州にどれだけ滞在していたか、どの州のソースを持っているのかでかなりアメリカ観に差が出る。アメリカ人でも複数州に住んだことが少ないと、狭い感覚だけで語りがちだ。

カリフォルニア州北部とルイジアナ州では、同じ民主党支持者でも政治観が違う。東部共和党より南部民主党のほうが社会問題では保守的だ。支持政党よりも州別と州内の風土差が勝る。

知事選や連邦上院選はいくら選挙区が広いといっても1つの州だけだ。大統領選挙は50個の異なる地域での勝負になる。だから陣営は各州の現地事情に詳しいスタッフと組織を要する。そして候補者のスペックによって、各州での勝ち目はある程度予見できる。

こうした州をめぐる特質が今回のアイオワの結果にも浮き彫りになっている。次回検討したい。

次回「アイオワ党員集会で何があったか」はこちら

渡辺将人(わたなべ まさひと)
1975年東京生まれ。北海道大学大学院准教授。シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。早稲田大学大学院政治学研究科にて博士(政治学)取得。ジャニ ス・シャコウスキー米下院議員事務所、ヒラリー・クリントン上院選本部を経て、テレビ東京入社。「ワールドビジネスサテライト」、政治部記者として総理官 邸・外務省担当、野党キャップ。コロンビア大学、ジョージワシントン大学客員研究員を経て現職。『見えないアメリカ』(講談社現代新書)、『現代アメリカ選挙の変貌』(名古屋大学出版会)、『アメリカ西漸史』(東洋書林)など著書訳書多数。