いまだに謎がある。ニクソン大統領の「銀座で豪遊写真」を、どうやって手に入れたんですか?

島地勝彦×加瀬英明 【第2回】

2016年02月10日(水) 島地 勝彦

撮影:立木義浩

第1回【自称"高貴高齢者"の秘策

加瀬 そこの天井にぶら下がっている模型は、ナチスの有名な爆撃機「ユンカース」ですよね。

シマジ はい、そうです。これはヒトラー自慢の模型で松岡洋右外務大臣の一行がドイツを訪れたとき、側近のひとりがヒトラー自身からもらったものらしいです。知野光志さんという粋な先輩が大事にしていたのを、わたしが頼み込んで無理矢理もらってきました。

一時、伊勢丹サロン・ド・シマジのバーに置いていたんですが、こういう模型に詳しい方がいらして、「これはナチスが作った本物の60分の1スケール・ユンカース爆撃機の模型です。こんなところに置かず、ご自分のお部屋に飾るべき貴重な品ですよ」と諭されて、またここに舞い戻ってきたんですよ。

加瀬 この爆撃機がロンドン上空に飛んできて、そこから急降下して爆弾を落とすときに「ピー」という音をたてて、ロンドン市民を震え上がらせました。もちろんチャーチルの心胆も寒むからしめたことでしょう。ナチスははじめのうちは破竹の勢いで勝っていましたからね。

シマジ わたしの大好きなユダヤ人作家シュテファン・ツヴァイクはそれに絶望したというか、ヒトラーが勝利して自分も捕まり殺されるに違いないと恐怖して、若い奥さんを道連れにブラジルで自殺してしまったくらいですからね。

加瀬 シマジさんはツヴァイクがお好きだったんですね。ぼくも彼が書いた分厚い傑作『マリー・アントワネット』を読んだことがあります。

シマジ 真面目な歴史学者からは「面白く脚色しすぎ」と批判されているようですが、わたしはそれでいいと思うんです。大衆は退屈な3つの醜い真実よりも1つの素敵な美しい嘘を好むものですからね。

加瀬 そんなことをたしかフランスの作家フランソワ・ラブレーがいっていましたね。

立木 加瀬さん、シマジというやつは他人がいった言葉を、さも自分が考えたかのようにいう名人ですからね。

ヒノ お得意の"過剰なるリアリズム"を突き詰めていくと、人が考えてた名言も自分が考えた迷言も、頭のなかではゴチャゴチャになって区別がつかないんでしょうね。

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