1月29日、日銀は新たな追加緩和策として「マイナス金利政策」の導入に踏み切った。日銀がこのタイミングで「マイナス金利政策」を導入するということは誰もが予想しえないことであったため、マーケットでは驚きの声があがった。
ただ、この「マイナス金利政策」のマーケットでの評価はまだ十分に定まっておらず、マーケットの右往左往が続いている。
筆者は、従来、「マイナス金利政策」の効果には懐疑的であったため、発表当初は正直、やや失望した。だが、声明文や黒田総裁の記者会見をみて、少し安心したという状況である。
その理由は、今回の政策は、決して、これまでの「量的質的金融緩和(QQE)政策」の限界を示したものではなかったからである。むしろ、今回の措置は、「QQE政策」の有効性を高めるための政策であり、QQE政策の「代替的な措置」ではなく、「補完的な措置」とみなすべきだろう。
つまり、日銀による「マイナス金利政策」は、QQE政策の継続、もしくは強化(国債買いオペの増額)を伴って初めて効果を発揮するものであり、単に利下げを進めるだけでは十分な効果は得られない。その意味では、従来のQQE政策の有効性をより高めるツールを新たに導入した、と見た方がよいだろう。
そこで、今回は「マイナス金利政策」の効果について考えてみよう。