自称"高貴高齢者"の秘策「年齢は自己申告でいい。戸籍上の数字に縛られることはないんです」
島地勝彦×加瀬英明 【第1回】

撮影:立木義浩

<店主前曰>

今月のお客さまは外交評論家の加瀬英明さんである。加瀬さんとはかれこれ半世紀のお付き合いになる。25歳で「週刊プレイボーイ」の新人編集者になったとき、仰ぎ見る素敵な先輩編集者、大西唐弘さんの紹介でお会いしたのが最初であった。

大西先輩は30歳の若さでこの世を去ってしまったが、いまでもときどき思い出す敬愛の人である。インタビューの仕方や原稿の書き方、酒の飲み方、女の口説き方まで、すべて大西先輩から教わったといっても過言ではない。その大西さんと加瀬さんが親しかったのだ。よく3人で銀座に繰り出して酒を飲んだものである。

加瀬さんは東京生まれだが、生後6ヵ月の赤ん坊のころ父の仕事の関係でロンドンに連れて行かれたため、日本語と同時に英語を話しはじめたという。父親は有名な外交官だった加瀬俊一さんである。

加瀬さんと親しくなったおかげで、海外の面白いジョークを沢山教わった。それが後年、開高健文豪との「ジョーク十番勝負」でどれほど役にたったことか。魅力ある人と親しくなると未来は輝いてくるものである。

加瀬さんは、わたしと知り合ったころからすでに、平河町の北野アームスに事務所を構えていた。後に知ることになるのだが、そこにはなんと今東光大僧正が仕事部屋を持っていらしたのだ。

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シマジ 加瀬さん、お久しぶりです。

加瀬 久しぶりですね。ところでシマジさんは何歳になられましたか?

シマジ わたしは今年の4月7日で75歳になります。いよいよ後期高齢者の仲間入りですよ。立木さんは78歳ですけどね。

立木 余計なことをいうんじゃない。はじめまして、立木です。

加瀬 加瀬です。今日はよろしくお願いします。わたしは今年の12月22日で80歳になりますが、自分では後期高齢者とは思っておりませんよ。立木さんやシマジさんやわたしは、むしろ誇りを持って"高貴高齢者"と言ったほうがいい。

シマジ なるほど。たしかに人間は実年齢よりも、見た目の印象が大事ですよね。