「高木郵政副社長が米系生命保険に天下り」への疑問
元金融庁長官がまたまた疑惑人事

 また、小泉郵政民営化の尖兵だった日本郵政株式会社の最高幹部の1人が、あっと驚く移籍劇を演じてみせた。

 新聞報道によると、日本郵政副社長兼ゆうちょ銀行社長だった高木祥吉氏が4月1日付で、長年の日米保険協議で日本勢のがん保険取り扱いを妨げ続けてきたことで知られる、アフラック(アメリカンファミリ―生命保険会社)の特別顧問に就任したのだ。

 高木氏は金融庁長官を務めたこともある大物だ。それだけに、「米国系とは言え、金融庁長官まで登り詰めた人物が、民間の金融機関に天下ることなど考えられない。

 あまりにもモラルを無視した話だ」と大手損害保険の広報担当者らは憤慨する。

 日本郵政の社長職を退任してから、わずか4日で、古巣の三井住友銀行グループに帰参した西川善文社長の人事ともども、強面で知られた亀井静香金融担当大臣に赤っ恥をかかせた格好となっている。

人事院総裁のウヤムヤ答弁

 高木氏は1971年に旧大蔵省(旧財務省)に入省。同省証券局時代には、NTT株の売り出しなどを担当した。そして2002年7月に金融庁長官に登り詰めたあと、04年7月に退任した。その後も、2006年1月まで郵政民営化推進室副室長として国家公務員(官僚)の地位にとどまった。

 この直後、高木氏が2006年1月に、日本郵政株式会社(民営化へ向けた準備企画会社)に天下った人事は批判を浴びた。

 というのは、この人事が、国家公務員法第103条に抵触するとの疑惑がつきまとったからだ。ちなみに、同条は、安易な天下りを規制するため、「人事院の承認を得ない限り、離職後2年間は、その離職前5年間に在職した国の機関などと密接な関係にあった営利企業に就職してはならない」と規定している。

 高木氏の日本郵政入り人事にあてはめると、この103条の規定をクリアーするためには、人事院の承認を得る必要があった。ところが、高木氏の人事は、この承認を得ていなかった。これは当時、権勢をほしいままにした、竹中平蔵・郵政民営化担当大臣の意向を受けた抜擢人事だったため、昂然とルール無視が行われたのだと解説されている。

 後に国会でこの未承認問題は追及された。人事院の谷公士総裁(当時)は、高木氏が官職にあった時点で、まだ日本郵政が誕生していなかったことを斟酌してみる必要があり、「(違法かどうか)もう少し検討してみないとわからない」という逃げの答弁を行っている。

 つまり、人事院が高木人事の違法性そのものを否定しなかったのである。そして、当時の人事の評価は今なお、ウヤムヤとなったままなのだ。

 さらに、高木氏の場合、秘書の人事も国会で問題にされ、質問の対象になった経緯がある。高木氏は、大蔵省時代から同氏に仕えてきた女性を、金融庁、日本郵政と移籍させたうえ、最後は2階級特進の「社長秘書心得」(室長・企画官級)に抜擢した。このようなエコひいきはプロパー社員のモラルダウンに繋がると野党議員が追及したのだ。

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