大統領選 アメリカ

アメリカ人にとって「大統領」とはいかなる存在か? トランプ旋風の行方を考える

大統領選、いよいよ幕開け!
渡辺 将人 プロフィール

候補者乱立で利益を得たトランプ

今回トランプを利しているのは共和党候補の乱立だ。票田を共有する候補者が重複すればするほど、アウトサイダーで無党派的な新規の支持者の多いトランプが相対的に数字を上げる。

アイオワ州共和党支持者には3派がいる。エスタブリッシュメント(本流系、ビジネス系)、宗教保守、リバタリアン(完全自由主義)だ。

エスタブリッシュメントの票はジェブ・ブッシュ、ルビオ、ケーシック、クリスティで食い合っている。それぞれの割合は小さいが、いずれも拮抗していたため、ウォーカー以後はアイオワまでは離脱者が生まれにくかった。

宗教保守は、2008年のアイオワ勝者のハッカビー、2012年勝者のサントラム、そしてクルーズが乱立するが、新しい候補を試したい自然な心理から、クルーズが一人勝ち状態だ。前者2人は早々に離脱するかもしれない。リバタリアン系はランド・ポールだが、彼はサンダースの参入で割を食った。 

「小さな政府」志向のリバタリアンが、減税など「経済的自由」に向けば共和党支持になり、愛国者法反対や麻薬合法化など「社会的自由」に傾けば民主党の左派と近くなる。だから、サンダース支持者とポールの支持は政党横断的に部分的に重なっている。

サンダース現象でポールが沈んだことが、トランプを間接的に利したのは皮肉だ。サンダース人気が上昇する前までは、ランドは父ロンを支援した社会リバタリアン票も抱え込み有力候補だった。

レドロスク教授が言うように、トランプは伝統的なアイオワ共和党の3派のどれにも当てはまらない。ポピュリズムに反応しやすい共和党寄りの無党派層が参入している。候補者が民主党並みに少なく、各派で候補者が絞られていれば、トランプはここまで勝てなかった。

クルーズはトランプを止めるには票をまとめるべきで、「トランプ制止のために自分に入れて欲しい」というキャンペーンに切り替えている。この説得が間に合うかは未知数だ。

ちなみにトランプは指名を取れても本選が厳しいとされるのは、アンチの激しさゆえだ。民主党のヒスパニック系、女性などマイノリティ票の投票率が「トランプ阻止」を合い言葉に格段に上がることは必至だからだ。ルビオなど若手のエスタブリッシュメントを相手にするより、はるかに民主党の勝率は高まるとの見方もある。