経済・財政
劇薬に頼るしかなくなったアベノミクス
【PHOTO】gettyimages

裏をかいたが…

29日、日銀は予想外の一手として「マイナス金利の導入」を決定した。マイナス金利は、日銀内部でも見方の割れる一種の劇薬だ。今回の措置は、黒田総裁が任期中に「劇薬を用いてでも物価目標を達成する」という強い意図を表しているといえる。

しかし足元の経済・金融の状況を考えると、物価が日銀の想定通りに上昇するとは考えにくい。 “マイナス金利付き量的・質的金融緩和”をもってしても、物価目標の達成は容易ではない。結局のところ、金融政策に依存してデフレ脱却を目指してきたアベノミクスが正念場を迎えていることを意味している。

年初来、世界の金融市場が不安定に推移する中、21日にはECBのドラギ総裁が追加緩和の可能性を示唆し、市場は若干の持ち直しの兆しを見せた。そして、国内では7月の参議院選への対策という意味でも追加緩和期待が高まってきた。選挙前の景気対策の重要性を加味して、エコノミストらは4月の追加緩和を予想していたようだ。

しかし、市場の大方の予想を裏切って、日銀は1月の追加緩和に踏み切った。この背景には、3月の追加緩和を示唆したECBとの関係があったのかもしれない。ECBが日銀よりも先に追加緩和を実施すれば、ユーロが円に対して下落する可能性がある。

市場が日銀の対応は後手に回っていると見れば、より踏み込んだ金融政策への期待は高まる。一方、既に量的緩和の拡大などが進められてきた中、市場を満足させるだけの政策には限りがある。そのため、黒田総裁は1月の追加緩和に踏み切り、物価目標達成への強い姿勢を示すことで、投資家の心理状況の改善を狙ったのだろう。

また、原油価格の下落を受けて世界的に物価の上昇期待は低下している。それを放置することは、物価目標の達成に日銀が及び腰との懸念を高めやすい。そこで、日銀は早めに、従来の量的・質的金融緩和に加えマイナス金利を打ち出し、物価目標の達成を目指す強い意思を市場に示したといえる。

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