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手際が良すぎる「甘利辞任→伸晃起用」は3月解散の布石か
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伸晃起用の舞台裏

全く想定しなかった結末だった――。1月28日夕、甘利明経済財政・経済再生・TPP相は内閣府での記者会見で「秘書の監督責任」「閣僚の責務」「政治家としての矜持」を挙げて、今後の2016年度政府予算案の国会審議で、自らが安倍政権の障害になることを避けるため辞任を決断したと述べた。

一方、『週刊文春』が報じた同氏への金銭授受に関しては、各50万円2回にわたりトータル100万円の授受を認めたものの、政治資金収支報告書に適切処理していると説明した。

安倍晋三首相が、27日の参院本会議で「(甘利氏は)今後速やかに必要な調査を行い、自ら説明責任を果たしていただけるものと考える。その上で希望を生み出す強い経済の実現に向けて経済再生やTPP(環太平洋パートナーシップ協定)などの重要な職務に、引き続き邁進してもらいたい」と答弁していたことから、甘利氏の辞職はないと見ていた。

それにしても、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の司令塔役を務めてきた甘利経済再生相の辞任は安倍政権にとって大きなダメージとなったことは間違いない。

衆院予算委員会(委員長=竹下亘・元復興相)は当初予定の1月29日からの開催が、野党の反対によって2月1日に延びたが、甘利氏は同4日にニュージーランドのオークランドで開催されるTPP協定署名式には出席すると、筆者を含めてマスコミ各社は判断していた。それだけに、驚きは大きかった。

そして次なる難題は後任人事だった。テレビ中継を観ていたら、程なくして安倍首相がブラ下がり会見で「石原伸晃元自民党幹事長を充てる」と語ったことに二度ビックリした。安倍首相は本意ではないにせよ、即戦力の観点から林芳正元農水相を起用せざるを得まいと予測していただけに、石原氏後任もまたサプライズだった。

それだけではない。何とそれから僅か2時間余の夜7時25分には、皇居で天皇陛下代行の皇太子殿下の認証式を執り行ったのだ。余りにも手回しが良過ぎる。

そこで検証してみたところ、安倍首相と菅義偉官房長官から指示を受けた杉田和博官房副長官(事務担当)が、昼過ぎから隠密裏に宮内庁側と認証式の準備をしていたことが分かった。

だが、よくよく冷静になって記憶を辿ってみたら、安倍首相が25日夜、塩崎恭久厚生労働相と石原氏とイタリア料理店で会食していたことと、「首相動静」でそのことを知ったときに感じた違和感を思い出した。

なぜ、この時期に石原氏と会食したのだろうか、という疑念だった。この間の石原氏と安倍官邸の距離感からして首相が石原氏と会食するニーズが見当たらない。確かに、安倍、石原、塩崎各氏と根本匠元復興相は、かつて「N(根本)A(安倍)I(石原)S(塩崎)の会」を結成した“お仲間”ではある。

加えて、その日の午後には、『読売新聞』(29日付朝刊)が報じたように、甘利氏が安倍首相に辞任を申し入れていたのである。符節が合いすぎる。安倍首相は石原氏との会食の際に、甘利辞任不可避の場合にその後任を打診していたとしか考えられない。