政治政策
期待は禁物!「電力自由化」のまやかし〜結局、国民がソンして官僚が栄えるだけじゃないか?
【PHOTO】gettyimages

過大な期待は禁物

今年4月1日に始まる電力の小売り自由化に向けて消費者の囲い込み合戦が過熱し、新聞や雑誌、テレビでも「最大〇%お得!」とか「使えば使うほど安くなる」と消費者を煽るかのような特集が氾濫している。

長年、実質所得が伸び悩む中で、支出を抑えたいというのは庶民の切実な思いだ。

しかし、過大な期待は禁物である。氾濫する新料金プランのほとんどは、首都圏や関西エリアのヘビーユーザーをターゲットにしたものだ。甘言につられて早々に契約すると、“2年縛り”などの制約を受け、来年4月以降さらに拡大する競争の恩恵を受けられないリスクが大きい。

国営・東京電力による民業圧迫の問題も深刻である。福島原発事故で国策救済を受け、今なお巨額の資金支援を受けている東電が、その返済に充てるべきおカネ、つまり税金を流用して値引き合戦を展開しているからだ。この問題は、官僚が電力市場を統制する端緒にもなりかねない。

電力の小売り自由化は、これまで全国10社の電力大手がエリアごとに地域独占してきた発電、送配電、小売りの3業務のうち、小売りを全面的に自由化しようというものだ。

小売りの自由化が始まったのは2000年のこと。最初に2000kw以上の大口向けが解禁され、その後、対象が商用全般に拡大された。ただ、家庭向けについては電力各社の抵抗が激しく、自由化しないことになっていた。

ところが、東日本大震災の翌年にあたる2012年に政府は方針を大転換、今年4月から家庭向けも自由化に踏み切ることにした。その背景にあったのは、電力業界の盟主だった東電が、福島第一原子力発電所事故などが原因で大規模な計画停電を実施して社会を混乱させたうえ、経営破綻に瀕して国営化されることになり、かつての政治力を失ったこと。

政治家を味方につけた東電に敗れ、苦渋を味わい続けていたエネルギー官僚が、絶好の好機と巻き返しに出たのである。このため、電力業界では、今回の自由化を「官僚たちの意趣返し」と呼んでいる。

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