安倍総理の「ズレた」経済感覚~“パート25万円発言”で大炎上、山尾議員の質問にも「しどろもどろ」

官々愕々より
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1月4日から始まった通常国会でようやく与野党の本格論戦が始まったが、数ある議論の中で明らかになってきたことが2つある。1つは、安倍晋三総理の庶民とかけ離れた経済感覚。もう1つは、安倍総理の「過ちを認めることができない」「謝れない」という人格の問題だ。

まず、実質賃金低下に関する1月8日の衆議院予算委員会での質疑。安倍総理は、景気回復による雇用増加の過程で、パート労働者が増えたために1人当たり平均賃金が下がったと説明したが、その際、「働いていなかった妻が働き始めたら、我が家の収入は、例えば、私が50万円で妻が25万円だったら、75万円に増える」と述べた。

この発言に、「パートで月収25万円なんて、庶民の生活のことをわかってない」という批判がネットで燃え上がった。安倍総理は、「パートで25万とは言ってない」と苦しい言い訳をしたが、「過ちを認めないのか」「見苦しい」と批判はさらに拡大した。

1月13日の衆議院予算委員会の山尾志桜里議員とのやりとりはさらに酷かった。山尾氏は、'15年4月の待機児童数が前年よりも増加した原因について、安倍総理が講演で、「安倍政権発足以来、女性就業者が90万人も増えたので、無理もないことだ」と述べたことを取り上げた。

景気が良くなって働く女性が増えたから待機児童もそれにつれて増えたと言われれば、普通の人は、まあ仕方ないなと思ってしまう。

しかし、山尾氏は、この理屈が、実はとんでもない嘘だということを暴露した。「25歳から44歳、すなわち、保育園に子どもを預けているママの年齢層では、働く女性の数は'10年から'15年の6年間ほぼ横ばい。しかも、'14年から'15年にかけては減っている」ことを示して、「女性の就業者数と待機児童の増減とは、どう考えても原因と結果の関係にならない」ことを論証したのだ。

虚を突かれた安倍総理は、しどろもどろになって、「それは、後ほど調べて答える」と逃げるのが精一杯。完敗である。

さらに、山尾氏は、安倍総理が、女性就業者が増えて待機児童が増えたのだから、これは「嬉しい悲鳴」だと言ったことを指摘して、「子どもが保育園に入れないというのは、子育て世代とか働く母親にとって、心の底からの悲鳴なんです。嬉しい悲鳴なんかじゃないんですよ」

「一般の女性とか、主婦とか、子育て世代の感覚とホントにずれまくってる」

「でも、一番問題だと思うのは、ずれたことを認めないということ。ずれを認めないで、言い逃れを続けてると・・・・・・必要な政策の軌道修正ができなくて、この国にとってよくない」とたたみかけた。

しかし、安倍総理は「(山尾氏の指摘は)本質を見ない枝葉末節な議論だ」と逆切れした。待機児童増加の原因に関する議論が、「枝葉末節」と強弁する安倍総理。「女性、子育て世代、こういう実情を知ってるかどうかっていうのは決して枝葉末節な議論じゃない」という山尾氏のほうが正しいのは、誰にもわかる。

安倍総理は過ちを認めることができない。だから誤った政策を正すことができない。これは、指導者としては、致命的な欠陥ではないだろうか。