働き盛りのがん闘病記〜ほぼ同時進行ドキュメンタリー(2) 「ちょっと待って!いきなり入院と言われても…」

2016年01月28日(木) 朱郷慶彦

朱郷慶彦賢者の知恵

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決断のためには調べる時間が必要だった。

私は、入院直前までの検査は予定通り受けたものの、29日の診察はキャンセルをした。

午前中に慶應病院に電話をかけると、たまたま女医さんは不在だった。耳鼻咽喉科の看護師さんにキャンセルの旨を伝えると、先方は明らかに動揺した口調になった。

〈あの……今日から入院の予定の患者さんですよね?〉

いや、そんなことは聞いていない。あくまで今日は、今後の治療法の相談ということだったではないか。そうか、今日診察を受けに行ったら、有無を言わせぬ説得で入院させられるところだったのだな。

私はとにかく、今日はキャンセルさせて欲しいとの旨だけを伝えて、電話を切った。

すると一時間ほどして、慶應病院から私の携帯あてに電話がかかってきた。先ほどとは別の耳鼻咽喉科の看護師さんからだった。

〈先生が非常に心配されています。とにかく、次の来院の予約だけでも入れてください〉

医師が看護師に電話をかけさせるほど、私の病状は深刻ということなのだろう。慶應ほどの大病院であれば、まさか診察料欲しさに営業の電話をかけてきていることもないだろう。あの女医さんは、真剣に私の体を心配してくれているのだ。

どのような治療法を選択するにせよ、やはりあの先生にはちゃんと会って話をするべきだろうと思った。

私は、入院ではなく、あくまで診察だけだと念を押してから、翌年1月5日に診察の予約を入れてもらった。

明日からはちょうど年末年始の休暇に入る。

私はこの休暇期間中に、様々ながんの治療法を自分なりに徹底的に比較検討してみるつもりだった。

→第3回はこちら

朱郷慶彦(しゅごう よしひこ)1966年東京生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。語るも涙、聞けば欠伸、の様々な人生遍歴を経て、小説家&脚本家となる。主な著書に『メインディッシュはあなたに』『妊娠詐欺師』『黒蜜美容整形外科』『世界にとっては小さな奇跡』『命をかけて口説くのだ』などがある。『黒蜜美容整形外科』は『フランケンの娘』として映画化。『命をかけて口説くのだ』は英訳され『Risking it All for Love』としてアメリカ、イギリスなど海外8ヵ国で出版されている。
 

 

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