働き盛りのがん闘病記〜ほぼ同時進行ドキュメンタリー(2) 「ちょっと待って!いきなり入院と言われても…」

2016年01月28日(木) 朱郷慶彦

朱郷慶彦賢者の知恵

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心を読まれたのかと思い、表情を引き締める私。

「これだけ腫瘍が大きいと、放射線も広範囲で当てることになり、副作用も強く出ることが予想されます。できれば最初に抗がん剤で叩いておいて、小さくなってから放射線を当てたいですね。

いずれにしても、放射線を照射すれば、治ったとしても、組織は必ず変形します。会話や摂食の際には多少の障害は覚悟して下さい。声はかなり聞き取りづらい、くぐもった声になりますし、食べ物は柔らかいものを食べて頂く形になると思います」

どうやら私の場合、治療をすれば必ず障害は現れるものらしい。

やはりセカンドオピニオンは受けてみるものだと改めて感じる。同じようなことを言っているのかもしれないが、やはり二人の医師の意見を聞くことで自分の病状に対する理解が深まるのは間違いない。

女医さんが私の目を覗き込んできた。

「まずは、手術か、放射線と抗がん剤の併用の二つの道のうちのいずれかを選んでもらう必要があります。ちなみに、放射線を当てると組織が変質するので、その後に手術をするのは難しくなります」

そうなのか。片方を選んでしまうと、もう一方には戻れないということか。

「その決断は、私がするのですか?」

「はい」

「今すぐ?」

「治療を一日延ばせば、一日危険が増えます。早い決断が必要です」

ひえ~。私は内心で情けない声を出した。声こそ出さなかったが、外見も情けない表情をしていたに違いない。

決断と言っても、どちらを選んでも、結果は機能喪失しかないではないか。腹部まで切る大手術をしなくて良い分だけ、放射線と抗がん剤の併用の方がましに思えるだけだ。それで五年生存率が五割程度なのか……。

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