賢者の知恵
2016年01月28日(木) 朱郷慶彦

働き盛りのがん闘病記〜ほぼ同時進行ドキュメンタリー(2)
「ちょっと待って!いきなり入院と言われても…」

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〔photo〕iStock
〔前回の話〕2015年11月、働き盛りの私の身に、思いもよらぬがん宣告が下された……。何も治療をしなければ「余命は1年」。私はひとまず、セカンドオピニオンを求めて別の病院へ行くことにした。ほぼリアルタイムで進行する闘病ドキュメンタリー第2回(→第1回はこちら

文・朱郷慶彦(小説家・脚本家)

セカンドオピニオン

妻の献身的な(ここを必ず強調するようにというのが妻からの要望である)食事療法によって精神的な安定を得ていた私は、がん告知にも動じることはなかった。

やはり、そうか。というのが唯一の感想であった。

済生会中央病院も一流の病院である。結果に間違いはあるまい。

しかしながら、やはりここはセカンドオピニオンというやつももらっておくべきではなかろうか。

ネットでも「セカンドオピニオンはできるだけ受けるようにしましょう」というアドバイスが溢れていた。私も、がんにかかったら絶対にセカンドオピニオンを受けようと心に決めていた。

なぜなら、セカンドオピニオン……なんだか格好良いではないか。

というわけで(どういうわけかは良く分からないが)、私はセカンドオピニオンを受けたい旨を女医さんに告げてみた。

「もちろん構いません。どこにしますか?」

爽やかに答える女医さん。ほう、セカンドオピニオンって、意外とすんなり受け入れてもらえるものなのね。

「では、慶應病院でお願いします」

「分かりました。それでは紹介状と、プレパラートをご用意します。それと、MRIとCTの画像を入れたDVDをお渡ししますので、これはあなた個人の資料として保管し、医師などに提示するのに必要な時は、このコピーをとってもらうようにして下さい」

資料をDVDでもらえるとは、気が利いた結婚披露宴並みではないか。後で良い思い出として妻と見直す時がくれば良いな。年賀状に印刷してみんなに出すのも良いだろう。お皿にプリントして引き出物にするのも……気持ち悪いか(笑)。

プレパラートとは、組織検査で採取した検体を、顕微鏡観察用にスライドガラスに載せカバーガラスで覆った標本のことらしい。行った先の病院にこれを渡せば、画像よりも詳しい病状が分かるのである。

慶應義塾大学病院を指定したのは、まずは有名かつ実績豊富な大病院であること。
そして慶應病院のある新宿区信濃町は、私の自宅からも勤務先からも電車の便が良いのである。済生会中央病院も良い病院ではあるが、三田はどちらからもやや遠い。私自身も通いやすく、万が一入院となった場合には妻も通いやすい病院がやはり良いだろう。

さらに、慶應義塾大学がわが母校である点も大きかった。

慶應義塾では、在校生は塾生と呼び、卒業生は塾員と呼ばれる。塾員は慶應病院で診察を受けると5%の塾員割引が適用されるため、私は今後の長期療養の場合に備え、慶應病院での治療を選択肢に入れておこうと考えたのである。このあたりの抜け目のなさが、スマートさで知られた私のスマートたる所以なのである。

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