参院選挙で問われる
「増税か」「経済成長か」の政策競争

ダブル辞任、ダブル選挙まで
何でもありの混迷政局

 5月に期限が来る普天間問題で、鳩山由紀夫総理は明快な回答が出せないことがほぼ確実といわれている。そうなると、鳩山総理の責任問題になって、内閣改造くらいではすまないかもしれない。小沢一郎民主党幹事長とともに、総理・幹事長のダブル辞任、そして、衆議院・参議院のダブル選挙まで、可能性がでてきた。

 鳩山総理や小沢幹事長にとっても、カネと政治ではなく、外交問題に精一杯取り組んだうえでの責任をとったという大義名分がたつ。総理も幹事長も刷新して若い人にあれば、衆参ダブル選挙での勝利の確率もぐっと高くなり、選挙でみそぎをすませることができるという計算もできる。

 こんな話をこのコラムでもいったことがあるが、とうとう、仙谷由人国家戦略相までも衆参ダブル選挙に言及してきた。

 政局が今後、どうなるのかわからないが、しかし実は経済にとってこれは悪いことばかりではない。こういう政治情勢になると、政策競争が起こり、国民にとっていい経済政策が採用される可能性が高まるからだ。

民主党は名目2%成長が基本

 多くの人にとって、景気は最重要関心事項である。私はしばしば海外投資家から日本経済の成長について質問されるが、選挙が近くなると特にこれが多くなる。

 まず、昨年の総選挙における自民党と民主党のマニフェストを復習しておこう。もちろんマニフェストは実行されなければ意味ないが、マニフェストに書かれなければ実行もされないので、マニフェストには一定の意味がある。

 自民党は、「2010年度後半には年率2%の経済成長」、「10年で家庭の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界トップクラス」と書いていた。

 「名目2%の経済成長で10年間の所得を2割増」と同じである。しかし、これでは、1人当たり国民所得はトップクラスにはなれずに、逆に現在の世界20位前後の地位からさらに落ちてしまう。

 一方、民主党には経済成長戦略の記述がなかった。だから、自民党のデタラメなマニフェストさえ批判できず、逆に成長戦略がないといわれる始末だった。

 要するに、昨年の総選挙では、まともな経済成長は議論されないまま、政権交代が行われたのだ。

 政権を取った民主党は今度どうするのか。

 昨年12月30日、政府が発表した「新成長戦略」では10年間で名目3%成長となっている。これまで経産官僚が書いてきた従来の成長戦略のままで、その内容はかなり杜撰だが、一応名目3%成長をうたっている。

 しかし、増税などに関わる「中期財政フレーム」について、今月6日、政府が公表した論点整理にはこうある。

「ベースラインの前提としては『プルーデント(慎重)』な経済見通しを採用し、『目標』である新成長戦略の目指す成長率とは区別すべきである。「慎重な」経済見通しは、(中略)例えば、日本の潜在成長率は市場関係者から1%程度と見られていることが参考となる」

 要するに実質経済成長率は最大1%と言っているのだ。インフレ率は日銀が0~2%としているので、これまでのようにデフレでないなら平均1%。これらをあわせれば、名目成長率は最大でも2%ということになる。

 鳩山政権も自民党時代と同じ、名目2%の経済成長なのだ。新成長戦略も中期財政フレームも6月には決まるが、名目2%成長が基本でなって夏の参議選挙マニフェストになるだろう。

一方、自民党はどうか。今月15日「名目4%の経済成長により10年間で所得を5割増」と一部に報道されたが、まだ数字は決まっていないようだ。

 ちなみに、昨年の総選挙では、みんなの党は「名目4%の経済成長で10年間の所得を5割増と物価安定目標」をマニフェストに掲げていた。自民党内にはみんなの党の人気にあやかりたいばかりに、政策のパクリも辞さないという人もいるようである。

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