安倍自民と市民派候補のバトル勃発
~基地をめぐる2つの市長選の危うさ

〔PHOTO〕gettyimages

新年早々、重要な選挙が二つある。いずれも1月17日告示、24日投票の山口県岩国市と沖縄県宜野湾市の市長選だ。

岩国基地には、2017年を期限に厚木基地(神奈川県)の米空母艦載機部隊の59機を移駐する再編計画がある。市長選ではこの計画の撤回を求める元岩国市議の姫野敦子氏が、基地との共存を掲げる現職福田良彦市長に挑む。

安倍晋三総理の地元山口県だから自民の現職有利のはずだが、岩国が極東最大級の基地の一つになろうとしていることに不安と不満を抱える住民が増え、姫野氏支持の動きが急速に広がり、予断を許さない。

一方宜野湾市長選では、市内にある普天間基地の辺野古移設が最大の争点。翁長雄志県知事はじめ保革を超えた「オール沖縄」が推す志村恵一郎氏(元県職員)と、新基地建設を強行する安倍自民と公明党が支援する現職佐喜真淳市長の争いである。

安倍政権が辺野古新基地建設を強行する際の大義名分は、「世界一危険(これは嘘だが)といわれる普天間基地返還のため」、つまり、宜野湾市民のためというものだ。仮に、宜野湾市民が辺野古移設反対の志村候補を選んだら、安倍政権の大義は完全に失われる。

実は公明党は、当初、自民党が支援する佐喜真市長の応援にまったく動こうとしなかった。官邸主導で消費税の軽減税率対象品目に加工食品を入れて1兆円のバラマキを決めた理由の一つが、この宜野湾市長選での公明の協力とりつけだったと言われている。現に決定の2日後に公明が現職支持を決めた。

また、安倍政権は昨年12月に、20年前に合意した普天間基地のわずか4ヘクタール返還やディズニーリゾート構想をぶちあげるなど、露骨な選挙対策を繰り広げている。

さらに、自民党は、普天間「移設」を禁句とした。辺野古への移設問題を切り離すためだ。その替わりに普天間「返還」と言えという指示が出ているそうだ。安倍政権は、返還の条件として辺野古への「移設」を要求しているのに、何と姑息なことか。それだけ追い込まれているということだろう(ちなみに、辺野古住民は、辺野古基地「新設」という言葉を使っている)。

これら二つの市長選の共通点は、地域住民の尊厳を無視して、国が一方的に基地の負担を押し付けるのを認めるのかどうかだ。とりわけ、銃剣とブルドーザーで住民から土地を強奪して建設した普天間基地を返還する条件として移転先の提供を強制するという、まるでヤクザさながらのやり方を認めてよいのか。

「普天間返還のために現職を推した方がよいのではないか・・・・・・。いや、それでは、沖縄人同胞の辺野古の人々に申し訳ない・・・・・・」。宜野湾市民はきっと迷っているのではないだろうか。

私は、昨年12月に宜野湾の市民集会に参加し、故・菅原文太さんのご夫人文子さんから頂いた文太さんの形見のネクタイを締めて、文子さんの宜野湾市民へのメッセージを伝えた。壇上に立った私の前には、辺野古移設反対を熱く訴える多くの市民の姿があった。私は感動した。そして、思った。

最良の答えを出すためには、国政を変えるしかない。それこそ、本土市民の責任なのだと。

『週刊現代』2016年1月30日号より

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