賢者の知恵
2016年01月21日(木) 杉山春

不倫、離婚、出産…それでも母であることはやめない。
「社会規範」から降り、「所有」しない家族のカタチ

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[Photo]iStock
わが子を虐待・ネグレクトする事件が後を絶たない。『ネグレクト―真奈ちゃんはなぜ死んだか』、『ルポ虐待―大阪二児置き去り事件の著者であり、これまで3つの事件を追ってきたルポライター杉山春氏。取材して見えてきた虐待する親たちの共通点として、過剰なまでに「社会規範に従おうとする生真面目さ」があることを指摘した。社会の求める家族規範から降りて、親であり続けることはできるのか? 後編では新しい親のあり方、家族のカタチに迫る。

前編はこちら:我が子を虐待する親の「悲しい真実」

社会の求める「家族規範」から降りた母

それにしても、社会の求める家族規範からは自由になり、それでも親であり続けるという選択肢はあるのだろうか。

4人の子どもの母親である、Aさん(40歳)に出会った。小さな出版社で正社員として働き、10歳の女の子と8歳の双子の男の子と3歳の女の子がいる。上の3人は前夫、Oさんとの子どもで、平日Oさんと一緒に隣町に住む。学校行事にはAさんも行く。学校には離婚をして別々に暮らしていることなど、大雑把な状況と自身の連絡先は伝えてある。

下の娘は現在の夫であるKさんとの間の子どもで、平日は3人で暮らす。3DKの公営住宅だ。毎週土曜日の朝に、別々に住む3人の子どもたちを車で迎えに行き、実母の公営アパートを拠点に遊びに行ったりして過ごす。実母宅には子どもの着替え一式、パジャマ、食器類、歯ブラシが揃えてある。

3軒は、それぞれが車で10分のところにあり、Aさんは、子どもや元夫のOさん、現在の夫Kさん、母親と連携を取り合いながら子育てをしている。

Aさんが離婚をしたのは、5年前だ。双子の息子たちが3歳になる直前だった。離婚の理由は「現在の夫に出会ってしまったから。交通事故みたいなもの」と言う。

「前の夫は、いい人です。家事もよくやってくれました。申し訳なかった。それでも、人の気持ちは変わってしまったら、もう動かせないんですね」

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