マイク・タイソン以来の超絶ヘビー級王者誕生の予感
~米国期待のワイルダー、ブレイクなるか~
(今週末のワイルダー対スピルカ戦を皮切りに、群雄割拠のヘビー級戦線が改めて動き出す Photo By Stephanie Trapp/SHOWTIME)

2016年はボクシングの世界ヘビー級にとって重要な年になりそうである。
昨年11月28日に絶対王者として君臨してきたウラディミール・クリチコ(ウクライナ)がタイソン・フューリー(イギリス)に敗れてWBA、IBF、WBO世界ヘビー級王座を失って以降、戦線が一気に騒がしくなっている。
 
まずは今週末の1月16日、ブルックリンでヘビー級の2大タイトル戦が開催される。WBC王者デオンテイ・ワイルダー(米国)がアルツール・スピルカ(ポーランド)を相手に3度目の防衛戦を行えば、セミファイナルではフューリーが返上したIBFのベルトをかけて、ビャチェスラフ・グラツコフ(ウクライナ)とチャールズ・マーティン(米国)が王座決定戦で対戦する。この興行を皮切りに、2016年は多くの注目カードが行われる気配だ。

(グラツコフは北京五輪の銅メダリスト。プロでも21勝(12KO)1分 Photo By Stephanie Trapp/SHOWTIME)

「私はクリチコを尊敬していたが、彼が敗れたことでヘビー級戦線はより魅力的になった。現時点で、(支配者になる)チャンスが誰にでもあるからね」

16日の興行のプロモーターを務めるルー・ディベラ氏の言葉に、多くのファン、関係者は同意するのではないか。
 
フューリー、クリチコ、ワイルダー以外にも、WBA正規王者ルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン)、WBA 暫定王者ルイス・オルティス(キューバ)、元WBA王者アレクサンダー・ポヴェトキン(ロシア)、元WBA王者デビッド・ヘイ(イギリス)といった実力者たちが顔を揃える。中でも昨年12月19日に、実績あるブライアント・ジェニングス(米国)を痛烈にKOしたオルティスの台頭で、米国内の争いもさらに面白くなった感がある。

(マーティンは22勝(20KO)1分という立派な戦績のサウスポーだが、まだ強豪と対戦経験はない Photo By Stephanie Trapp/SHOWTIME)

また、アンソニー・ジョシュア(イギリス)、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)といった楽しみなプロスペクトたちも腕を磨いている。特にここまで14戦全勝全KOの快進撃を続けるジョシュアは、26歳にして近未来のスーパースター候補との評価を勝ち得るに至った。さらにジェニングス、クリス・アレオーラ(米国)、デリック・チソラ(イギリス)といったベテランたちもまだ商品価値を残している。

アメリカでは近年は“ヘビー級低迷の時代”が続いてきたが、クリチコ王朝の終焉が新たなターニングポイントになるのだろうか。最重量級に揃った多くのタレントたちが、今年の後半頃から徐々に潰し合いを始めそう。そのときには、ヘビー級戦線は久々にスポーツファンの興味を惹きつけることになるだろう。