勝谷誠彦「騒乱のバンコク」リアルタイム日記 Vol2
村本さんが撃たれた場所に立って

vol.1 はこちらをご覧ください。

 4月17日

 午前3時起床。バンコク時間。

 ドロドロという遠雷の音とカーテンの間からの閃光で目がさめる。あまりに砲声に似ている。日本だとそんなことはないのだが、身体がそういうモードになっている。

 タイミングを見計らって昼前にスタートした。反独裁民主統一戦線(UDD・英文字にして打つのが面倒くさいので今後は「赤シャツ」と書きます・笑)が占拠しているラーチャプラン交差点を目指す。

 そこらじゅうで赤シャツがチェックポイントを作って「入れていい人間」と「ダメな人間」を区別している。私のように昔から軍人や情報機関の人間とつきあいのある人間が見るとその手際がわかる。明らかに赤シャツの中にその筋の連中が入っている。「潜入」や「紛れ込んでいる」のではない。確信的に入っているのだ。

 つまりは軍や情報部もまた分裂している、あるいは保険のために相手に与しているわけで、これは事態は深刻だとわかった。

 まずはテントが張られている中にパラパラと人が寝ている風景である。テントはよく出来ていてすべてが同じ規格だ。学校の運動会のテントの巨大なものがずっと並んでいると思っていただけるといい。道路沿いに並んでいるのである。

 そこで人々が「寝て」いる。あるいは「食って」いる。何人かにひとりが赤いシャツを着ているのでなるほどそうかとわかるのだが、そうでなければ難民の集団だ。あとはキーワードは「シート」ですね。花見の席とりと同じでみんながめいめいにシートを持って来て敷いている。その領土感覚にはなかなかのものがあって、民主的に集まったということは若干相いれない。

 で、考えたのである。そのスペースを得るのに何か利権があるのではないかと。ただの民主化への情熱だけでこんなに争って場所とりをするかと。

 動員にカネが使われているかというのは大切なテーマであった。私はあらゆるところで聞いた。答えは「ノウ」だ。彼ら彼女らの答えが、である。しかし私はある場所では「イエス」だろうなと強く感じた。「ノー」の言い方があまりに紋切り型である。

 と同時に地方から来てるの人たちの現地と今の生活とのギャップがあまりに大きい。「儲かるんでなきゃくるわけないじゃん」なのである。

 イサーン地方から来た一家の飯に合流させてもらった。カネに関する答えは「ノウ」だが鶏肉に蒸し米のそれは豪華な昼食だった。政治向きのことを聞いても「タクシンはいい」としか言わない。複雑な質問への答えはないのである。まあ、これはひとつの回答ではあると思った。

ステージの上からみた光景

 中心である交差点まで来た。ステージが作られているがその背後から私は接近したのである。ここまで来る道筋にもずっと大型スピーカーが設置されていた。そこから絶え間なく演説が大音声で流れている。