『利己的な遺伝子』以来の衝撃!「人類」と「意識」、根源的問いに読書で迫る
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先日、久しぶりに出版社が主催する文学賞のパーティーに顔を出した。ところが、顔見知りの編集者や同業者の反応がどことなく妙なのだ。何かに困惑しているような、そんな空気が伝わって来る。

しばらくして理由に思い当たった。一昨年の秋からロードバイク(自転車)に乗り始めたおかげで、体重が15キロ近く減っている。見た目が相当変化しているらしい。しかもこの年齢である。何か悪い病気でもしたんだろうか―会う人の脳裏には、そんな疑念がよぎっていたようだ。

私の場合、運動で体重を減らしたわけだが、炭水化物と砂糖類を食べないだけという、いわゆる糖質制限ダイエットを詳しく紹介しているのが『炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学』である。

私の身近にも糖質制限でダイエットに成功した友人がいるので、方法さえ間違えなければ確かに効果はあるようだ。

だが、本書の真骨頂は、糖質制限ダイエットという身近な関心事から出発し、生命科学をベースとしつつ、進化論や人類史にまで広がる様々な考察が展開されている部分にある。

本書を読み進めながら、糖質と生命の関係について純粋に楽しんだ先に待っているのは、人類にとっては必然だと私たちが思い込んでいる、穀物栽培そのものの意味の問い直しである。

著者による、穀物栽培は本当に私たちに幸福をもたらしたのかという問いかけと警鐘には、真剣に耳を傾けておくべきだろう。