ブルーバックス前書き図書館
2016年01月15日(金) 池谷裕二

脳はこんなにダマされている
〜気鋭の脳科学者が明かす「ココロの盲点」

池谷裕二=著『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』

upperline
〔photo〕iStock

脳が私をそうさせる。

脳にそなわった「勘違い」する思考回路──「認知バイアス」の不思議な世界をクイズ形で体感。自分を知り、他人の心まで見えてくる「脳の取扱説明書」。

はじめに

本書(『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』)は、「認知バイアス」と呼ばれる脳のクセを、ドリル風に解説したものです。

ヒトは脳の取り扱い説明書を持ち合わせていません。私たちは生まれてこのかた、見よう見まねで脳を使ってきました。だから脳の使い方は自己流です。クセがあります。

認知バイアスとは、思考や判断のクセのことです。このクセは曲者で、しばしば奇妙で、ときに理不尽です。しかし、どんなに非合理的に見えても、たいてい何らかの利点が潜んでいます。

実際のところ、私たちの「勘」は有益です。ほとんどの場面で、反射的に浮かんだ「直感」を信じて問題はありません。ただし、たまたま想定外の条件が揃うと、直感は珍妙な解答を導くことがあります。それが認知バイアスです。つまり、認知バイアスとは、脳が効率よく作動しようと最適化を進めた結果、副次的に生まれるバグなのです。

「目の錯覚」でたとえてみましょう。たとえば、下図の二つのイラストを比べてください。

 

イラストの二人はどちらも同じ大きさです。上下の位置関係だけが異なっています。ところが、脳はそんなふうに論理的には分析しません。直感的に状況を読み解きます。

いかがでしょう? 左の二人については、遠近を感じませんか。小さい人は遠方にいるように感じます。一方、右の二人は、まるで親子が並んで歩いているように感じます。つまり、描かれていない背景に、下図のような解釈を、想像で補っているわけです。

 

これは日常的に頻繁に出くわすシーンですから、ある意味で「正しい解釈」です。長年の経験を通じて、「そう解釈しても現実的にほぼ不都合がない」ことを脳が学習しているから、自然にそう解釈するわけです。

次ページ 直感はいつも正しいとは限らない…
1 2 3 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ