【竹田圭吾が読む2016年の国際情勢】ニッポンよ、世界の難局に手を差し伸べる国となれ
竹田 圭吾
「地球儀外交」で獲得したプラス材料を「連なる」ことに結びつけられるか?〔PHOTO〕gettyimages

日本は「連なる」ことへの意思を世界に示すべき

では、2016年が「連」の年になるにせよ「散」の年になるにせよ、日本は状況にどう向き合うべきなのだろうか。

地球を俯瞰する外交を掲げ、3年間で86の国と地域を訪れた安倍総理の姿勢は、日本のプレゼンスを格段に高めた点で評価されていい。長期政権が担保されているのも、日本に対する信用力をアップさせている。問題は、そうしたプラス材料が「連なる」ことにほとんど結びついていないことだ。

尖閣諸島への中国の挑発的な行動に対する日本の反応は、周辺国と日々緊張状態にある国々の目には甘すぎると映る。ウクライナ問題で対ロシア経済制裁をためらわなかったことは、安倍総理とプーチン大統領の太いパイプを詰まらせ、北方領土問題解決への歩みを足踏みさせた点で外交戦略として疑問も残る。TPP交渉をアメリカとともに牽引し、AIIBにはアメリカとともに参加しないのも、単なるアメリカ従属にしか見えないだろう。

日本はもう少し、目に見える形で「連なる」ことへの意思を世界に示すべきだと思う。例えばシリア問題では、テロの標的になる可能性を高めるだけの形式的な軍事後方支援ではなく、シリアやイラクの難民を3万人、日本が受け入れると宣言してはどうか。

日本は難民問題に無頓着というイメージとのギャップがあるため、国際社会からは歓迎され評価されるはず。財源が問題だが、受け入れる以上はスウェーデンやドイツのように語学習得、職業訓練、生活費支給を行わなければ意味がないので、難民1人当たり最低50万円はかかるだろう。

それでもトータルでは150億円で、イラク戦争時の派遣に970億円かかったことと比較すればずっと費用対効果が高い。反対する野党はいないだろうし、負担が大きいのは自治体だが、企業や個人による費用面・人材面・インフラ面での支援や寄付も日本の場合は大いに期待できる。

連なることで日本も当事者であるとはっきり示す、あるいは連ならないことで「散乱」の状況に臨機応変に対処する――。それを自らの判断と意思で行うことが重要だ。安倍総理と連立政権には、地球を俯瞰するだけでなく「ときに地上へ降りて難局に顔と口を出す」外交を望みたい。

(竹田圭吾さんは1月10日にお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします)

竹田圭吾(たけだ・けいご)
編集者/ジャーナリスト。1964年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、スポーツ雑誌でアメリカのプロスポーツを取材。93年に『ニューズウィーク日本版』に移り、2001年から10年まで編集長。04年以降、テレビのさまざまな情報番組やニュース番組のコメンテーター、ラジオ番組のナビゲーターなどを務めている。Twitter: @KeigoTakeda